山から沸き立つ歓声「姑ママバスケットボール大会」・中国
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【7月15日 Peopleʼs Daily】貴州省(Guizhou)黔東南ミャオ族トン族自治州(Qiandongnan Miao and Dong Autonomous Prefecture)の雷山県(Leishan)の山々に囲まれた「木鼓広場」に、銀の装身具の音が鳴り響き、ミャオ族の少女のスカートが音楽に合わせて舞い、トン族の「大歌(民族伝統の大合唱)」が谷間に響き渡っている。広場の中央のバスケットボールコートでは、ユニークな「姑(Gu)ママバスケットボール大会」が熱戦を繰り広げている。
ミャオ族の集落では、嫁いだ娘を「姑ママ」と呼ぶ。「苗年(ミャオ族の正月)」や「吃新節(新米の収穫祭)」など重要な祭日には、嫁いだ「姑ママ」たちが鶏や鴨、魚や肉をおみやげに、里帰りしてくる。里のみんなで食事を楽しんだ後は、幼い頃から一緒に育ったミャオ族の姉妹たちが集まって、「苗歌」を歌い、「蘆笙(竹製の管楽器)」を吹き鳴らし、バスケットボールをして遊んだりもしている。「姑ママバスケットボール大会」はこうした中で生まれた。
他のバスケットボール大会とは違い、姑ママバスケのルールは柔軟で自由奔放だ。キャリングの反則はなく、選手はボールを抱えて走ってもよい。故意の反則でない限り原則として反則は取られず、楽しさと観客にとっての面白さとスムーズな試合の流れが重視される。
参加選手は女性のみで、プレイスタイルも様々だ。新奇な形式、楽しい雰囲気、そして濃厚な民族的な特色から、姑ママたちのバスケットボール大会は、近年ネット上で大きな話題となり、関連トピックの閲覧数は延べ100億回を超え、貴州省で「村BA(村のバスケ)」「村超(村のサッカー)」に次ぐ大規模な大衆スポーツイベントとなった。
しかし、山間の少数民族がどうやってバスケットボールと縁を結んだのだろうか?
雷山県の中等職業学校の元副校長・馮昌明(Feng Changming)氏の話によれば、実は苗族の祭りの日には、バスケットボール大会が頻繁に開催されていたという。バスケットボールの試合の、チームが対抗して競い合う雰囲気や観客にとっての面白さが、ミャオ族の持つ性格的な特徴と非常に相性が良かったようで、バスケットボールが伝来するとすぐに広まったのだろうと、馮氏は推測している。
苗族伝統の衣装(普段着)で、苗族の髪型をした姑ママたちがバスケットボールコートを駆け回る姿は、周囲の人たちから大いに注目された。そして、この女性たちの「趣味」のバスケ大会は、周辺の多くのミャオ族の村に広まっていった。
「元々バスケットボール自体がこの地の民衆の中に根付いていた。一方で、農村部のスポーツ施設の整備が徐々に進んでもいた。こういう下地が、姑ママバスケットボール大会の発展を後押しした。以前の県の調査では、約半数の村で、姑ママバスケ大会が組織されていることが判明した」、雷山県体育事業管理センターの石芳(Shi Fang)主任はこのように説明している。
「雷山県文化・体育・広報・観光局」主催の「2024年・西江(Xijiang)姑ママバスケットボール大会」が西江千戸(Qianhu)ミャオ族村で開催され、75の村からチームが参加した。姑ママバスケ大会は、そこからさらに広範な地域に普及していった。
「参加者は外に嫁いだ女性に限らず、スポーツを愛する全ての女性が参加できる」と馮氏は説明する。
出場選手の一人・周俊珍(Zhou Junzhen)さんは、試合の前には毎回丁寧に身支度をして、ミャオ族の伝統衣装を身につけ、頭には新鮮な花を飾る。ミャオ族の村で数軒の記念写真スタジオを経営する彼女は、試合前にはチームメイトを店に招き、メイクアップアーティストにメイクを施してもらっている。「勝敗は後回し、まずは美しく出場することが大切なのよ!」というのが周さんの思いだ。
ミャオ族の村で姑ママバスケ大会を観戦することは、多くの観光客のチェックリストに加えられている。現在、雷山県では県、州、省の各レベルの大会や省外との親善試合を複数回開催し、参加チームは地元から他の省にまで拡大している。石主任は「我々の目的は、より多くの女性がバスケットボールに参加して、運動を通じて喜びと自信を得ることだ」と説明する。そして姑ママバスケ大会の名声が高まるにつれ、地元の文化観光産業も活性化しているという。
石主任によれば、姑ママバスケ大会は、ミャオ族の文化と貴州の特色を多くの人に見せるための窓のような存在なのだ。
コート上では、特色ある衣装をまとった女性たちがバスケットボールを抱えて軽快に走り回り、選手たちが笑いながらボールを奪い合っている。コートの周りでは、蘆笙の旋律が鳴り響き、国家無形文化遺産の「錦鶏舞」や「銅鼓舞」が次々に披露されている。選手たちの伝統的な頭巾「頭帕」とスポーツ用のヘアバンドが絶妙にマッチし、伝統の藍染めと蛍光スコアボードが互いに引き立て合っている。
この活気あふれるバスケ大会は、ミャオ族の千年の伝統の韻律と時代の鼓動とが交じり合った特別な場所となっている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews