全国的な経済資源の広がりで、イノベーションの勢いが増す中国
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【7月11日 Peopleʼs Daily】一見無関係な事柄でも、視点を変えると新たなトレンドが見えてくる。 この春、「杭州六小龍(杭州の6つの小さなドラゴン)」」と呼ばれる浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)の民間企業6社が先端テクノロジーのブームを巻き起こし、映画『哪吒之魔童鬧海(英題:Ne Zha2)』が世界の映画史で興行収入の上位にランクインした。
一見、新興テクノロジーとアニメ映画は互いに関係がないように思える。しかし、よく考えると、一つは先端テクノロジーの核心的ハードウェアのブレークスルー、もう一つはアニメーション業界の革新的な産業チェーン、それらの背景にはいずれも「イノベーション」がある。
詳細に見れば、従来のイメージでは、中国のイノベーションは主に東部地域で生まれてきた。それでは、四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)で生まれた『哪吒之魔童鬧海』は単なる偶然の事例に過ぎないのか、それとも中部・西部地域がイノベーション駆動型の発展戦略で先進地区に追い付いたことを示すものなのか?
中部・西部地域に目を向けると、様々なイノベーションの成果が目を引く。ショッピング・アミューズメント融合型の大規模総合スーパーマーケット「胖東来(Pandonglai)」などリテール方式のイノベーションは河南省(Henan)で生まれ、量子計算や新エネルギー車などの産業イノベーションは安徽省(Anhui)で急成長している。
過酷な砂漠環境に適応したテクノロジーを駆使して敷設された世界最長の砂漠鉄道(ホータン・ルオチャン鉄道)や世界最長の砂漠のグリーンベルト(人工防風林)など、緑のテクノロジーを象徴する「世界一」の成果は新疆で実現している。イノベーションの「真珠」を一粒ずつ連ねていけば、中西部と東部地域のイノベーション格差が明らかに縮小している事実が見えてくる。
なぜこのような新たな変化やトレンドが生まれたのか?
これは、全国統一の大市場の急速な形成が、不可欠な要因だと言えよう。
世界最大の高速鉄道網、高速道路網、郵便宅配網が、中国を「小さく」した。「県県5G接続」「村村ブロードバンド接続」など、5Gユーザーの普及率60パーセント超えが、中国を「速く」している。隠れた壁を取り除き、地域格差を解消し、市場ルールが統一され、全国で「公平な競争環境」が出現した。
統一された大市場と、国内外の市場をつなぐ円滑な「ダブル循環」によって、人材・資金・技術など「経済資源」の自由な流通が可能になった。価値あるイノベーションは、地域の壁を超え、全国のさらには世界の資源を引き寄せ、超大規模市場のスケールメリットが享受できるようになっている。
従来の立地上の弱点や交通の不便は徐々に解消され、中西部の発展空間が拡大し、イノベーションの活力が自然に解放されてきている。
地域同士が協力したイノベーションもますます増加し、地域間の協力がますます緊密化している。
北京の起業家が、河北省(Hebei)を貫いて流れる大河川「潮白河(Chaobai River)」を越えて、天津市(Tianjin)と河北との間を奔走し、これらの地域で製造される様々なパーツを集めて、北京経済技術開発区に運び込んでいる。
湖北省(Hubei)では、研究開発が武漢(Wuhan)で、技術移転は鄂州(Ezhou)で、製造は「都市圏」で行うという、複数の地域が一つの回廊でつながり、共に科学技術の発展を享受する「光谷科学技術イノベーション大回廊」が形成されつつある。
地域をつなぐ協同イノベーションは、イノベーションの発展空間の配置を最適化し、「1+1が2より大きくなる」という全体効果を生み出すだけでなく、地域間のイノベーションの格差をさらに縮小させている。
「地方」の地理的要因はもはや足かせではなく、あらゆる夢の種が山や海を越えて花を開かせる時代となってきた。「辺境の真珠」とも呼ばれる寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region%)は、近年、北京・上海・深セン(Shenzhen)といった一線都市にイノベーション拠点を構築し、東部と西部の科学技術協力における新たな実験フィールドを創設している。
寧夏のある高性能有機顔料メーカーは「寧夏上海科学技術イノベーションセンター・プラットフォーム」の支援を受け、欧州の顧客と約20万ドル(約2907万円)の契約を結び、欧州の自動車塗料市場への販路を開拓した。
全国統一の大市場の形成は、市場の容量を広げ、産業の連携能力をさらに活性化している。どこにいても全国とつながることができる。「イノベーション」は中国各地が連携し、分業や協業によって達成できるようになっている。今後、どこでも誰にでもできる「イノベーション」が、さらに多くの成果を上げることが期待されている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews