4日、ソウルの教保文庫に並ぶ日本の漫画家、たつき諒氏の『私が見た未来』(c)news1
4日、ソウルの教保文庫に並ぶ日本の漫画家、たつき諒氏の『私が見た未来』(c)news1

【07月08日 KOREA WAVE】「7月5日、日本に大地震が来る」――この一文が、東アジアの日本旅行需要を大きく冷え込ませた。

韓国をはじめとする東アジアでは、日本行きの航空券が20万ウォン台まで値下がりし、特に中華圏では予約キャンセルが相次いだ。観光業界は、不確実性が市場をどれほど大きく揺さぶるかを改めて実感している。

発端は、日本の漫画家、たつき諒氏の『私が見た未来』に記された「2025年7月5日、日本南西部に大地震と巨大津波が来る」という内容だ。作家は過去にこの漫画を通じて2011年の東日本大震災を暗示したとされ、今回もSNSや動画プラットフォームを通じて一気に拡散した。

現実の地震がこの流れに拍車をかけた。6月下旬から九州南方のトカラ列島で地震が頻発し、7月3日には悪石島付近の地震で住民が避難する事態となった。

作者は「7月5日に何かが必ず起きるという意味ではない」と釈明しつつも、「2025年7月が日本にとって重大な転換点になる可能性はある」と余韻を残している。

こうした「怪談」は観光需要にも明確な影響を及ぼしている。日本政府観光局(JNTO)は「韓国を含む東アジアで日本行き需要の変化が感知されている」と述べ、各国の反応を精査中だ。

特に中華圏での影響は大きく、香港の主要航空会社は日本南部への路線を減便または一部運休し、鳥取県などでは香港発予約が50%以上減少した。野村総合研究所は、この影響で日本の観光業界が最大5600億円の損失を被る可能性があると推計している。

韓国でも例外ではなく、東京行き航空券(2泊3日、金~日)は、ネイバー航空券の調べで10万ウォン台後半まで下落した。一方、欧州や北米では需要に大きな変化はないとされる。

旅行会社「ノル・ユニバース」の関係者は「日本路線の場合、有意な減少傾向が見られている」としながらも「全体的な景気低迷など複合的な要因が作用しているため、地震の怪談は一時的な要素の一つと見ている」と述べた。

観光心理は一度揺らぐと、簡単には戻らない。過去にもMERS(2015年)、コロナ禍、戒厳令発令時など、観光需要は短期間で急減し、回復の速さは政府の対応次第であった。

韓国文化観光研究院のチョ・アラ研究委員は「2011年の東日本大震災の際、福島を除く地域は比較的早く需要を回復した」と指摘。その理由は「日本政府が被災地域を明確に線引きし、迅速にメッセージを発信したこと」と説明する。

また、「不確実な状況下で観光客が感じる心理的負担を減らすためには、影響範囲を正確に分析し、それをもとに迅速な危機管理体制を動かすことが必要だ」と強調した。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News