ラサの乃朗寺、チベット自治区初のカーボンニュートラル寺院に
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【7月8日 CNS】「以前、寺院の炭素排出量を試算したところ、僧侶たちの暖房用電力や、まきでの炊事が多くの二酸化炭素を排出していることが分かりました」。最近、チベット自治区(Tibet Autonomous Region)ラサ市(Lhasa)の乃朗寺で取材に応じたバウォ師はそう語った。乃朗寺では「ゼロカーボン寺院」の実現に向けて、太陽光発電所を設置し、発電・蓄電・充電が一体となったシステムを導入するなどの取り組みを進めている。これにより、チベット自治区で初めてカーボンニュートラルを実現した寺院となった。
乃朗寺はラサ市トゥールン・デチェン区の古栄鎮に位置し、標高4200メートルを超える山腹にある。寺の歴史は700年以上におよび、チベット仏教のカルマ・カギュ派に属している。
バウォ師によると、ナイラン寺には現在30名余りの僧侶が在籍しており、実践と体得を重んじる修行の場となっている。僧侶たちは実修を主とし、厳格な戒律のもとで生活し、仏陀(ブッダ)の教えと三蔵に則った修行の段階に従って日々を送っているという。「こうした修行を大切にしながら、近年は文化の保護と継承、そして環境保護と生きとし生けるもののための取り組みにも新しい挑戦を始めています」とバウォ師は語り、ゼロカーボンおよびカーボンニュートラル寺院の発想はまさに「環境保護と利生」の理念から生まれたのだという。
記者が現地を訪れると、寺の駐車場には複数の電気自動車用充電スタンドが設置されており、寺の敷地内のあちこちに植樹や緑化が施されていた。注目すべきは、乃朗寺の主導により、チベット自治区初となる自然保護区域「乃朗谷自然保護区」も設立された点だ。
「充電スタンドは寺の太陽光発電所の電気を使っています。観光客や信者の方が電気自動車で訪れる場合、無料で充電できます」とバウォ師は話す。これに先立ち、寺は専門技術者を招き、僧侶たちの学修や日常生活における炭素排出の主な要因を調査。その結果を踏まえて、寺では電気設備の整備が進められた。「ちなみに今日のお昼に皆さんが食べた精進料理は、昔のようにまきではなく、すべて電気調理で作ったものです。省エネ・排出削減につながります」と語った。
乃朗生態文化保護センターのスタッフであるツェリン・チュダン氏によると、乃朗寺の太陽光発電所は敷地面積2500平方メートル、年間発電量は約100万キロワット時に達し、発電・蓄電・充電が一体となったシステムが導入されている。5つの蓄電キャビネットを備え、オフグリッド(系統外)でも1週間の運転が可能だという。この発電所の設置には、国家電網西蔵電力有限公司およびラサ市当局の全面的な支援があった。2024年にはグリッドへの接続(系統連系)も実現し、余剰のクリーン電力を送電網に供給できるようになった。
「太陽光発電所のグリッド接続・切断は、寺の運用スタッフが自分たちで操作できます」とバウォ師は話す。以前は発電所の保守は建設業者の技術者が担っていたが、今では寺の電気技師が簡単な研修を受け、自力で簡単な故障対応や保守ができるようになった。(c)CNS/JCM/AFPBB News