【7月2日 AFP】中国政府は2日、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の輪廻(りんね)転生について、「中央政府の承認が必要だ」と改めて強調した。インドに亡命中のダライ・ラマ14世が同日、自身の死後も後継制度が続くとの考えを表明したことを受けた発言だ。

今週90歳の誕生日を迎えるダライ・ラマ14世は2日、600年の歴史を持つ転生制度が今後も続くと明言し、精神的・政治的指導者を失うことに不安を抱いていた多くのチベット人を安心させた。

これに対し中国は、現在のダライ・ラマを「分離主義者」とみなしており、後継の決定権はあくまで北京にあることを強調した。

中国外務省の毛寧報道官は定例会見で、「ダライ・ラマやパンチェン・ラマ、その他の偉大な仏教指導者の転生は、金の壺からくじを引く方法で選ばれ、中央政府の承認を得なければならない」と述べた。この制度は18世紀の清朝の皇帝が導入したものだという。

毛氏はさらに、「中国政府は信教の自由政策を実施している。中国には、宗教事務に関する規定と、チベットの生き仏の転生を管理する方法がある」と語った。

毛氏はまた、宗教の「中国化」政策について「制限ではない」と主張し、「いかなる宗教も、その国の社会環境や文化的伝統に適応してこそ存続と発展が可能だ」と述べた上で、「チベット仏教は中国で生まれ、中国的な特徴を持っている」とした。(c)AFP