中国とASEANの連携で「成長のデジタルエンジン」を構築
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【7月4日 Peopleʼs Daily】広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)凴祥市(Pingxiang)で、中国初の出入境スマート通関地「中越友誼関スマートゲートウェイ」プロジェクトが、調整の最終段階に入った。
このゲートウェイの運用が正式に開始されると、衛星ナビゲーションと5G技術を利用した無人輸送車両や自動化クレーン設備が稼働し、スマート検査システムが機能し、「スマート指揮調整プラットフォーム」による24時間連続の無人化・スマート通関が実現する。
中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)を結ぶ最大の陸路通関地・「友誼関スマートゲートウェイ」が「デジタルの翼」を羽ばたかせ、通関効率をさらに向上させ、中国とASEANを結ぶサプライチェーンの安定的な発展に効果的なサービスを提供することになる。
テクノロジー感が満載の「友誼関スマートゲートウェイ」は、中国とASEANが「デジタルエンジン」によって多くの分野の高品質な発展を後押しすることの生き生きとした証である。現在、デジタル協力は中国とASEAN諸国との間の二国間・多国間協力の大きなハイライトとなっている。
インフラ面では、中国はベトナム、ラオス、ミャンマーなどASEAN諸国との間に「クロスボーダー陸上光ケーブルシステム」を建設し、ASEAN十数か国の企業とネットワークの相互接続を実現している。
ASEAN地域のデジタルインフラ建設に多くの中国企業が積極的に参画し、タイとは5Gデジタルインフラの開発、インドネシアとは「国家ネットワークプロジェクト」、マレーシアとは「国家データセンター」の建設、フィリピンとは光ケーブルの家庭への普及など、ASEAN諸国の普遍的なデジタルサービス体制の構築を加速している。
データによると、近年、中国とASEANとの間の越境Eコマース取引額は、年平均20パーセントを超えるペースで増加し、双方の貿易発展の重要な原動力となっている。
また、中国とASEAN諸国間のモバイル決済の普及も進んでいる。昨年、マレーシアの中央銀行傘下の決済システム「PayNet」が中国の「微信支付(ウィーチャットペイ、WeChat Pay)」との提携を発表し、200万店を超えるマレーシアの商店が「微信支付」に対応している。
現在、中国はマレーシア、シンガポール、ベトナム、インドネシア、カンボジアなど複数のASEAN諸国と「デジタル経済分野における投資協力強化に関する覚書」に署名している。「中国・ASEAN自由貿易協定(CAFTA)3.0版」には、デジタル経済に関する専用の章が初めて盛り込まれ、双方のデジタル経済協力の計画が策定された。
昨年10月「第27回中国・ASEAN(10+1)首脳会議」において、「中国とASEANとの協力による持続可能で包摂的なデジタルエコ体制の構築の推進に関する共同声明」が発表され、デジタルエコ体制の共同構築を、次の段階の重点協力テーマと明確に示された。
ASEAN諸国は近年、資金投入を拡大し、関連計画を作成するなど、デジタル技術とデジタル経済の発展を積極的に進めている。このような背景で、多くのASEAN諸国は中国とのデジタル協力に期待を寄せている。
タイの副首相兼デジタル経済・社会部長のプラサート(Prasert Chandraruangthong)氏は、中国のデジタル経済発展は巨大な成果が上がっていると認め、インフラ整備、5G、人工知能(AI)などの中国の先進的な経験は、ASEANのデジタル化転換を有利にしていると指摘する。
中国社会科学院「アジア太平洋とグローバル戦略研究院」の許利平(Xu Liping)研究員は「中国とASEANのデジタル協力には堅固な基盤がある」と言う。
「堅固な基盤とは、第一に、政治的な相互信頼が深まり、各国の開発戦略の連携や技術移転、技術協力の基盤が築かれていること。第二に、共通の開発ニーズがあること。中国とASEAN諸国はともに開発途上国であり、デジタル技術とデジタル経済を活用して経済成長と民生改善を実現したいと考えている。第三は、地域一体化が加速していること。「中国・ASEAN(10+1)協力メカニズム」や「中国・ASEAN技術移転センター」などのプラットフォームが、デジタル協力を活発にリードしている。第四は、双方の相互補完性。デジタル経済の発展において中国は技術、人材、経験の優位性を有し、ASEAN諸国は強い需要と広大な市場を有していることが『双方向的な協力』を加速させる要因になっている」、許氏はこう分析する。
中国とASEANのデジタル協力の持続可能な発展のためには、人材の育成が重要なポイントとなる。中国企業は近年、ASEANのデジタル人材育成で重要な役割を果たしている。
例えば、中国電子商取引大手阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)は2023年にカンボジア商務部と「グローバル貿易プラットフォーム協力協定」を締結し、カンボジアの中小企業約100社にデジタル化研修を提供している。
また中国の支援で建設された「ラオス郵電技術学院」の運営が始まり、ラオスの通信技術専門人材育成の重要なプラットフォームとなっている。
中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ、Huawei)は、タイの大学、研究機関、企業と協力し、25年までに10万人のデジタル人材を育成する計画を持つ。
「今後『中国・ASEAN自由貿易協定3.0版』の実行が進む中、『科学技術の協力』は、双方の多層的で多くの分野を網羅する協力の重要な原動力となり手段となる。サプライチェーンの安定とアップグレード、地域全体の共同発展に向けて多くのパワーを注入するものとなる。関係各国が共同で『デジタル生態系』を構築することは、将来の発展に向けて大きな可能性を秘めるものと言える」、許氏はこのように指摘している。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews