【6月25日 AFP】北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が24日、オランダ・ハーグで開幕した。欧州の加盟国は防衛費を国内総生産(GDP)の5%に引き上げる意思を鮮明にすることで、気まぐれなドナルド・トランプ米大統領から集団防衛義務へのコミットメントを取り付けることを期待している。

トランプ氏はしかし、オランダに向かう大統領専用機中で記者団に対し、北大西洋条約第5条に基づく相互防衛規定について、「定義による。第5条にはいくつもの定義がある」と指摘。その上で、「私は彼ら(欧州の加盟国)の友人であることにコミットしている」と語った。

NATOは、ロシアを抑止するには軍事力の増強が不可欠との立場だ。当局者は、ウクライナへの侵攻で消耗したロシア軍が急速に再建され、5年以内にNATO加盟国に攻撃を仕掛ける準備を整える可能性があると警告している。

トランプ氏を引き留めるためにも軍備増強は重要となる。米国は、中国の脅威に対応するため、欧州から部隊を移動させる可能性をちらつかせているからだ。

ただ、防衛支出拡大を誓約することによってトランプ氏を納得させられる可能性がある一方で、ロシアのウクライナ侵攻という、欧州の主要な安全保障問題をめぐっては、深い亀裂が残っている。

トランプ氏はハーグで、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談する可能性があると話している。ウクライナとしては、かつてのホワイトハウスでの両者の激しい対立の再現は避けたいと考えている。

ゼレンスキー氏は会談で、主に防空システムで構成される兵器パッケージを米国から購入する件について話し合う予定だ。

NATOはウクライナの加盟について「不可逆的」なものと宣言しているが、トランプ氏が否定的な立場を示したため、今回の首脳会議では加盟問題をめぐる討議は控えられるとみられる。(c)AFP/Max DELANY and Danny KEMP