【6月21日 AFP】フランスのテレビ局によると、昏睡(こんすい)レイプをしたとして起訴されている中道右派のジョエル・ゲリオー上院議員(67)をめぐり、新たな被害女性が名乗り出た。

この女性は2022年5月、ゲリオー議員の自宅で同議員に性的暴行を受けたと告白した。ゲリオー議員は2023年11月、中道派のサンドリーヌ・ジョソ下院議員の飲み物に薬物を混入させたとして起訴されたが、否認している。

女性は19日夜、国営テレビ「フランス2」の番組に顔を覆い声を変えて出演。「この件は心の奥底にしまい込むことにした」と語った。

女性は、ゲリオー議員宅の寝室で意識を取り戻す前に「めまい」を感じたと述べている。ゲリオー議員とは政界で知り合い、法廷闘争もしていた。

フランス2によると、女性は警察に通報したが、まだ告訴状は出していないという。

ゲリオー議員の弁護人はフランス2に対し、ゲリオー議員は「これらの新たなうわさを強く否定している」と述べ、告発は「ジョエル・ゲリオー議員の公開処刑のみを目的とした愚行」と述べた。

エドゥアール・フィリップ元首相率いる政党「地平線」は、ゲリオー議員がジョソ議員を昏睡レイプしたとして起訴されたのを受け、2023年11月にゲリオー議員を党員資格停止処分とした。

ジョソ議員は、20歳近く年上で交際関係にもないゲリオー議員のパリの自宅で飲み物を受け取った後、気分が悪くなったと述べている。

検査の結果、ジョソ議員の体内から合成麻薬エクスタシー(MDMA)の成分が検出され、ゲリオー議員は起訴された。

ゲリオー議員は、ジョソ議員に対する性的暴行の意図を否定。故意に薬物を投与したとの主張に対しては「ヒューマンエラー」だったと反論している。

ゲリオー議員は現時点で辞任の可能性を否定しており、判決が出る前に辞任するのは「全くの不公平」だと主張している。

フランスでは数か月前、ドミニク・ペリコ受刑者が妻に繰り返し薬物を投与し、自らレイプしたり、見知らぬ男たちを募ってレイプさせたりしたとして拘禁20年を言い渡され、世界に衝撃を与えたばかり。

大勢の男が関与したこの衝撃的な事件を受け、性的同意の問題に注目が集まった。

フランス上院は18日、レイプ罪の構成要件に同意の欠如を含める法案を可決し、今後数か月以内の施行に道筋をつけた。

ドイツ、オランダ、スペイン、スウェーデンなど、欧州のいくつかの国では​​、同意のない性行為をレイプと見なしている。(c)AFP