AIで綿花栽培が進化 新疆でスマート農業加速
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【6月23日 CNS】農業用自動運転装置による耕作の自動化、ネットワークセンサーによる正確な施肥を実現するスマート灌漑システム、病害虫や雑草の予測と精密防除に人工知能(AI)技術を活用——ここ数年、中国・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)では綿花栽培の技術と農業機械の装備が次々と更新され、「AIで綿花を育てる」未来が着実に現実へと近づいている。
このほど開催された「2025新疆国際農業機械博覧会」では、綿花用スマート摘心(打ち止め)ロボット、スマート灌漑システム、立体型農業ロボットなど、AIを活用した農業の高品質化を示す成果が一堂に会した。
新疆緯爾農業科技の営業マネージャー・胡梁晨(Hu Liangchen)氏は、「当社が開発した世界初の綿花用スマート摘心ロボットは、『ステレオカメラによる3D復元+AI経路計画アルゴリズム』を採用しており、人の手作業を再現した高精度・高効率の作業が可能です」と語る。
紹介によれば、このロボットの作業精度は95%以上で、1時間あたり15ムー(約1ヘクタール)の処理が可能。20人以上の作業量に相当するという。胡氏は「この装置は2021年から開発を始め、新疆内で小規模ながら導入が進んでいます。今年末には自走式の改良版を発表予定で、複数のモジュールを同時に動かすことでさらに作業効率を数倍に高められる見込みです」と述べた。
北京大蚯蚓数字科技のCEO・李迅(Li Xun)氏は「AI技術の農業分野における最大の強みは、深層学習とビッグデータ解析を基盤とし、膨大なデータの蓄積とモデル訓練によって栽培の意思決定を最適化し、作業の自動化や資源管理の効率化を実現できる点にあります」と語る。同社はすでに複数の地域でAIを用いた綿花農場の運営を実施している。
李氏によれば、新疆は広大な耕地と今後の農地開発の潜在力があるため、AI農業の導入に非常に適しているという。すでに主要な綿花産地である新疆ウイグル自治区アラル市(Aral)では、水と肥料を一体化した設備、データ収集ネットワーク、分析エンジン、アプリや管理プラットフォームといった基盤整備が進められており、AIによる綿花栽培の実現に向けた下地が整っている。
実際、2021年には中国の「極飛科技(XAG)」という企業がバインゴリン・モンゴル自治州(Bayingolin Mongol Autonomous Prefecture)のロプノール県で「スマート綿花農園」の試験を開始。1990年代生まれの2人の若手農業経営者が管理する3000ムー(約200ヘクタール)の「スーパー綿田」では、農業用ドローンや無人トラクター、リモートセンシングドローン、自動運転装置、IoT機器などを組み合わせ、「まるでゲーム感覚で農業ができる」環境を整えている。
この「スーパー綿田」を管理する艾海鵬(Ai Haipeng)氏によれば、今年で第5シーズンを迎え、これまでの経験を基にさらなる技術導入が行われている。例えば、全面的な空中防除技術によって効率的な作業を実現し、新世代の自動運転装置と北斗衛星ナビゲーションを搭載。スマホ操作だけでセンチ単位の正確な播種が可能となったほか、AIを組み込んだスマート灌漑システムによって、水と肥料の管理も精密化されている。
「現在、当社が提供する技術サービスはすでに50万ムー(約3.3万ヘクタール)の綿花畑をカバーしており、ロボット管理型の農業モデルが多くの農家に受け入れられています」と艾氏は話す。2024年には「スーパー綿田」の単位面積あたり収量が500キロを突破し、伝統的な農場に比べて約8%の増産となったほか、総合コストの節約率も22%に達したという。
中国最大の綿花生産地である新疆では、ここ数年、綿花栽培における機械化の水準が年々向上し、スマート農業やインテリジェント農業の方向へと加速している。統計によると、2024年の新疆における綿花の作付面積は3671.9万ムー(約244万ヘクタール)で、耕作から収穫までの機械化率は97%超、機械収穫率も90%を超えている。(c)CNS/JCM/AFPBB News