韓国バイオ協会のイ・スンギュ常任副会長(c)news1
韓国バイオ協会のイ・スンギュ常任副会長(c)news1

【06月19日 KOREA WAVE】「韓国がリードを保てる時間は長くて5年だ」。韓国バイオ協会のイ・スンギュ常任副会長は、米ボストンで開催された国際バイオ展示会「BIO USA 2025」の会場で16日(現地時間)、記者団に対してこう警鐘を鳴らした。世界中の国がバイオ分野への投資にしのぎを削る中で、韓国も例外ではないという。

今年のBIO USAにおける「韓国館」は過去最大規模で構成された。これは韓国バイオ産業への国際的関心の高まりを示すものだが、イ・スンギュ氏は「すでに中国には追い越されており、日本や東南アジア諸国も急速に追随してきているため、安心していられない」と懸念を示した。

とりわけ、日本の富士フイルムや旭硝子などは、米国市場で積極的に攻勢をかけている。イ・スンギュ氏は「韓国には世界的製薬大手があるわけでもなく、産業全体の基盤が整っているわけでもない。現状では中途半端なポジションにある」と指摘した。

日本は米国内に製薬工場を建設し、現地営業体制を強化するなど、戦略を大幅に転換。旭硝子は月に1件のペースで米欧企業とのM&Aを進めており、タイやインドネシアといった東南アジア諸国の成長も軽視できないという。

一方で、韓国は新薬候補化合物(コンパウンド)やセレンジン(遺伝子編集)に関する技術依頼が殺到しており、グローバル市場においてバイオ開発の「パイプ役」を担える数少ない国としての地位は依然堅持していると強調した。

今回のBIO USAでは、日本、米国、ヨーロッパ、インド、韓国といった「バイオビッグ5」が非公式のラウンドテーブル形式でサプライチェーン協力の可能性を探る場面もあった。中国を排除した供給網強化の動きと見る向きもあるが、イ・スンギュ副会長は「産業的観点から冷静に対応すべきだ」と述べた。

(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News