中国・海南島、千年の風情を体感、新たな島の魅力発見
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【6月17日 東方新報】北緯20度に位置する中国最南端の島・海南省(Hainan)の省都・海口市(Haikou)は、独特の魅力を放つ街だ。
騎楼老街(Qilou Laojie)には、1階がアーケード状の店舗、2階以上が張り出した「騎楼建築」の家屋が600棟以上も続き、全長4キロの通りは、まるで屋外のギャラリーのような景観をなしている。中山路の家屋の入口の上の欄間(らんま)には伝統の商業街だった昔を語るような飾り彫りが施され、水辺の茶館からは炭火焙煎のコーヒーの香りが漂ってくる。老舗書画店「国新書苑」のテラスに登れば、夕日が金色に染まる空を背景に、バロック風の破風(はふ)装飾と南洋風の柱が織りなす華やかな風景が広がる。
「東坡老埠頭」には、漢代の渡し場「儋耳古渡」の歴史が息づき、今では川辺のアート空間として再生されている。
笠をかぶり草履を履いた姿の宋代の著名な文人・蘇東坡(Su Dongpo)の銅像の前で、彼がこの地を訪れた際に残した詩「六月二十日夜渡海」の一節「この旅は生涯で最も奇絶な体験だ」を詠じてみれば、風情もまたひとしおだ。
伝統工芸の工房では、現地の少数民族・リー族の織物「黎錦」の機織りや染色作業を体験ができ、夜には星空のナイトマーケットで、現地に伝わる「瓊劇」の即興パフォーマンスや現代アート雑貨を見てまわり、伝統と現代が共鳴する幻想的なひとときを楽しむことができる。
映画をテーマにした観光スポット「馮小剛電影公社(Movie Town Haikou)」では、南洋街の時計塔が時刻を知らせる鐘を鳴らすタイミングで、チンチン電車がレトロな音を響かせながらゆっくりと通り過ぎていく。夜になり街灯がともる頃、ホログラムによる映像演出が始まり、通り全体がまるで昔の中華民国時代の映画の世界に生まれ変わったかのような幻想的な雰囲気に包まれる。
竜華区の昌学村は、中国産アニメやマンガのクリエイターが集まる拠点となっている。火山岩造りの古民家は、今やアニメ作品を手がけるスタジオに生まれ変わり、壁に描かれたストリートアートには中国の人気作品『鏢人(Blades of the Guardians)』の原画がさりげなく溶け込んでいる。
アニメをテーマにした民宿には、『ONE PIECE(ワンピース)』のフィギュアがずらりと並ぶフィギュアウォールがあり、ファンにはたまらない空間だ。毎週開かれるクリエイターマーケットでは、南国風のデフォルメ似顔絵をその場で描いてもらうこともできる。
海口はスポーツの楽園でもある。30面のサッカー専用グラウンドが、翡翠のような緑を連ねて美しく広がっている。サッカーファンは予約制の公開日にナショナルチームのトレーニングを見学でき、同じ仕様の芝の上で、VRによるペナルティキック対決も体験できる。
また、海口には世界最大規模の火山岩ゴルフコース「海口観瀾湖ゴルフ場」がある。全長3キロにおよぶゴルフコースには、著名なコースデザイナーの手による10の名物ホールがプレーヤーを待ち受けている。夜間照明のもとでプレーをすれば、星空の下に連なる火山のシルエットが、まるで静かな観客のように黙ってプレーを見守ってくれる。
海口を訪れたら、南国の島ならではの地元の美食は外せない。この街では、庶民の暮らしの中に、ゆったりとした「スローな哲学」が息づいている。
街のあちこちに並ぶ茶店「老爸茶」は、ヤシの街・海口の南国らしさを映し出す。茶壷の蓋をそっとずらすと「お湯を足して」の合図、それが地元のおじさんたちのさりげない社交のスタイルだ。
路地裏の茶店では、サクサクの皮に包まれたタロイモまんじゅうを、体を整える薬草茶・「鷓鴣茶(しゃこちゃ)」といっしょに味わう。また騎楼の軒先の茶店では、ハーブの1種・パンダンリーフの緑がまぶしい「パンダン餅(斑斕糕)」に、地元産の豆を使った香ばしい興隆コーヒーが添えられる。
午後3時、ポットに入ったレモンティーを囲めば、それだけで半生のさまざまな物語がぽつぽつと語られていく、そんな午後が、この街にはよく似合う。
観光の魅力は、常に新しさを取り入れてこそ輝きを放つ。
新しくオープンした「東坡老埠頭」では、海鮮市場で水揚げされたばかりの石斑魚(ハタ)をその場で鍋料理にしてくれる。地元の老舗の揚げ物店「十三小」では、秘伝の甘酸っぱいタレのタロイモ串が味わえる。
夜が更けた頃、スパイシーなスープご飯の屋台が立ち並ぶ「夜食通り」では、胡椒の香りが食欲をそそる豚モツスープが、静まりかけた街の胃袋を目覚めさせてくれる。
海口の夜景クルーズは観光客から大好評だ。クルーズ船で「世紀大橋(Shiji Bridge)」を通り抜け「瓊州海峡(Qiongzhou Strait)」を遊覧すると、海口の現代と伝統とが融合した素晴らしい夜景に出会うことができる。
海口に来たなら、大いに語るべきだ、海口の魅力を!(c)東方新報/AFPBB News