【6月16日 AFP】ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は16日、世界は新たな核軍拡競争に直面していると警告した。

SIPRIによると、世界の核兵器保有数の約90%を米国とロシアが占めているが、両国を含む核保有国の大半は昨年、「既存の兵器の改良や新型兵器の追加」に取り組んだ。

冷戦終結以降、旧式の核弾頭は新型の弾頭が配備されるペースよりも速く解体されてきたため、核弾頭数は全体として減少傾向にあった。しかし今後はこの傾向が反転する可能性が高いと、SIPRIは警告している。

とりわけ中国ではその傾向が顕著で、現在保有する核弾頭約600発のうち100発が、2023~24年に追加されたものだとしている。

SIPRIのダン・スミス所長はAFPに対し、「まず第一に、運用可能な核弾頭の数が増加し始めている」と指摘。

中でも「中国は核戦力を着実に増強している」とし、その核弾頭保有数は7~8年以内に1000発に達する可能性があると述べた。それでもなお、ロシアや米国の核戦力には遠く及ばないものの、中国が「はるかに大きなプレイヤー」となることは確実だとスミス氏は予測する。

■核軍拡競争の新たな地平

スミス氏は、世界は地政学的に「極めて危険で不安定な時期」を迎え、新たな脅威に直面しており、「新たな核軍拡競争の兆候が見え始めている」と警告する。

また、迫りつつある核軍拡競争は「弾頭の数だけではなく」、「高度に技術的な軍拡競争になるだろう」と強調。核兵器を制御・誘導するソフトウエア分野が競争対象となり、「宇宙空間とサイバースペースの両方」で展開されることになるだろうと述べた。

さらに人工知能(AI)の急速な発展も、最初は人間を補完する形から、この競争に関与すると予測。「次の段階は完全な自動化へ向かうことだが、それは決して踏み込んではならない一線だ」とスミス氏は警告した。(c)AFP