「すべての侵略的外国人を通報せよ」 トランプ政権、キリスト教ナショナリズムに共鳴
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【6月13日 AFP】ドナルド・トランプ米政権は、「侵略的外国人」を標的としたキャンペーンの一環として、キリスト教ナショナリズムのプロパガンダを拡散し、移民政策をめぐる新たな論争を巻き起こしている。
トランプ氏は、ロサンゼルスでの強制送還反対デモへの対応をめぐって既に批判にさらされ、デモ鎮圧のために軍を派遣したことも批判の的となっている。
国土安全保障省は11日、X(旧ツイッター)にアンクル・サム(第1次大戦期の募兵キャンペーンで用いられた米国を擬人化したキャラクター)の画像を投稿して不法移民の通報を促し、さらなる論争を巻き起こした。
画像は、星条旗を意匠化した服装のアンクル・サムが「祖国とあなた自身を助けよう」と書かれたポスターを張る場面が描かれたもので、「すべての侵略的外国人を通報せよ」と呼び掛け、不法移民の通報先の電話番号を紹介している。
数日前にこの画像を投稿した極右インフルエンサーのC・ジェイ・エンジェル氏は、トランプ政権がアンクル・サムの画像を採用したことを称賛。「この画像の出典は私のアカウントだ。絶対にポストを削除しないで」と投稿した。
このキャンペーンは、第2の都市ロサンゼルスをはじめ全米各地で、トランプ氏による不法移民数百万人の強制送還に抗議するデモが続く中で開始された。
エンジェル氏は、ユダヤ人は「たいてい古き良きアメリカの生活様式と相いれない仕事をしてきた」と述べ、ソーシャルメディアに「キリスト教の信仰だけが、来る夜を乗り越える力となる」と投稿した。
エンジェル氏は、欧州以外からの移民を追放することで、米国を「アングロサクソン・プロテスタント」のルーツに戻す「反革命」を呼び掛けている。
政権当局者らは、トランプ氏が求める不法移民の大規模送還を正当化するため、扇動的な反移民発言を強めている。
その代表がスティーブン・ミラー大統領次席補佐官で、反人種差別活動家や公民権運動家の激しい怒りを買っている。
ミラー氏も「アンクル・サム」の画像を共有。最近では、不法移民追放運動を「文明そのものの存続のための闘争」と位置づけ、不法移民を抑制できなければ、西側諸国は「破滅」するだろうと警告した。(c)AFP