【6月18日 Peopleʼs Daily】今年は年初から、次々と発表されるイノベーションの成果が話題を独占している。

「杭州六小龍」と称される民間企業6社の最先端の技術イノベーションが注目を浴びた、河南省(Henan)の小売り大手「胖東来」の大型ショッピングモールの3日間の来店者数が同省のトップ観光地を上回る記録を樹立した、中国アニメ映画『哪吒之魔童鬧海(英題:Ne Zha2)』が単一市場での世界の興行収入第1位に輝いた、などなど。

 これらのイノベーション成果のブレークスルーは、突然出現したものではなく、日頃の積み重ねが集中的に爆発した結果であり、未来のトレンドを象徴するものでもある。

 この成果を地域的な視点から見ると、意外な発見もある。

 テクノロジー企業が急成長し、浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)は「ネットで話題の街」となった。社会現象級のヒットを記録した国産ゲーム「黒神話:悟空( Black Myth:Wukong)」を開発した「遊戯科学(Game Science)」や春節(旧正月、Lunar New Year)のテレビ番組で祝いの踊りを披露した人型ロボットを開発した「宇樹科技(Unitree Robotics)」などは、いずれも杭州に本社を置く民間企業である。杭州市は中国の東部に位置する都市だ。

「胖東来」は河南省許昌市(Xuchang)の普通のスーパーマーケットから、今では「観光地の看板を掲げない5Aクラスの観光地」へと変貌を遂げた。また、アイスクリームと茶飲料のチェーン店ブランド「蜜雪氷城(Mixue)」、業務用や消費者向けの各種食材を扱うコンビニエンスチェーン「鍋圈食匯(Guoquanshihui)」など、河南省から全国に展開する人気の企業も存在する。一部では「多くのイノベーションビジネスモデルは河南省から始まっている」とも言われている。河南省は中国の中部に位置する省だ。

『哪吒之魔童鬧海』は破竹の勢いで過去の興行収入記録を次々と破り、アジア映画として初めて世界興行収入ランキングトップ10入りした。その成功の背景には、成都市(Chengdu)のアニメ産業チェーンのサポートがあり、また成都という都市が持つ深い文化的な土壌がある。成都市は中国の西部に位置する都市だ。
  
 従来、人びとは「イノベーションは主に東部地域から生まれる」と言う印象を持っていた。しかし現在、人びとは驚きの声を上げながら、台頭する中部、疾走する西部からも強力なイノベーションの活力が湧き出ていることを発見している。

 もしも中国全体をイノベーションの「主体」と捉えるならば、東部・中部・西部の「多角的な発展」は、現在の中国全体のイノベーション能力が「爆発的に」高まっていることを明確に示すものだと言えよう。

 それでは、この全国的なイノベーションの背景にある「秘密」は何だろうか?

 これに関し、一部の人びとは「好奇心」と「起業家精神」の作用に注目している。「黒神話:悟空」の制作者・馮驥(Feng Ji)氏や『哪吒之魔童鬧海』の監督・餃子(Jokelate)氏は、いずれも専門的な教育を受けていない人物だが、興味と好奇心から彼らは壁を破り、分野を越えて挑戦し、偉業達成までの集中力を維持した。

 また一部の人びとは「政府」と「市場」の良好な相互作用に注目している。杭州では、政府職員と投資機関の責任者が一緒にスタートアップ企業の現場で仕事をする光景が、頻繁に見られる。

 さらに一部の人びとは、「長期主義」と「開放的で寛容なイノベーションの雰囲気」に注目している。杭州では、政府の「誘導基金」の利用で最大30%の損失を認めている。このような忍耐強い資本支援政策で、より多くの民間資本の発展を後押ししている。

 もう一歩視野を広げて見ると、一種の「時代の必然性」が見えてくる。中国の産業体系、新興技術、人材の蓄積、市場環境など多方面の総合的な進歩が、イノベーションの水準を向上させ、中国は今や世界が注目するイノベーションの「孵化基地(インキュベーター)」となっている。
  
 中国には世界最大規模の「人材プール」がある。中国は毎年500万人を超えるSTEM(科学、技術、工学、数学)分野の専門人材を育成し、世界一の人材供給量を誇る。このことが多彩なアイデアとイノベーションの基盤となっている。

 中国には世界最大の潜在力を秘めた消費市場がある。全国が統一された巨大市場で、市場に必要な要素がスムーズに流動し、地域が密接に連携している。隠れた市場障壁が次々と撤廃される中で、価値あるイノベーションは、超大規模市場の恩恵を享受している。

 中国には世界最先端の新型インフラ設備が整っている。中国のインターネットユーザー数は11億人を突破し、5Gユーザーの普及率は60%を超えている。デジタル経済と実体経済が深く融合し、科学技術イノベーションと産業イノベーションが緊密に融合し合い、人工知能(AI)などの新興産業に豊富な応用シーンを提供している。
  
 中国にはより成熟した、より定型化された制度体系がある。社会主義市場経済体制は、より効率的になり、社会全体でイノベーションを尊重し、試行錯誤を容認する雰囲気がより濃厚になっている。このことが、集中力を発揮して大きなことを成し遂げるための有利な環境を提供しているだけでなく、さまざまなトライアルを市場が受入れ、挑戦者が柔軟に試行錯誤を行うことを可能にしている。

 人材がイノベーションを実現し、市場がイノベーションを奨励し、豊富な応用シーンがイノベーションをサポートし、制度的な優位性がイノベーションを保障している。これが、イノベーション成果を続々と湧き出させる肥沃な土壌を提供しているのだ。

 近い将来、人工知能(AI)などの新技術がもたらす広範な応用の可能性は、より多くの人びとが未踏の領域に挑戦する意欲を刺激し、超大規模市場の富の効果が、より多くの人びとの想像力を刺激し、中国ではさらに多くの世界中を感動させる発展物語が生まれ出ることだろう。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews