高齢化の中国、人口ボーナスは依然持続中と言えるのはなぜか
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【6月15日 Peopleʼs Daily】現在、中国の人口動向は少子化、高齢化のすう勢を示し、60歳以上の高齢人口の割合は2割を超えている。「共同富裕を目指しながらも、富む前に老いる」という現実が目の前に迫っている。
「富む前に老いる」は、人口ボーナスが消失したことを意味するのだろうか?
中国の人口動向は、福祉の向上や中国式現代化を支え続けることができるのか?
答えを探るには、まず人口と人口ボーナス、「富」と「老」の弁証法的な関係を明確にする必要がある。
数十年にわたる急速な発展が、豊富な労働力に支えられたことは疑いない。しかしそれ以上に、中国の特色ある社会主義制度の「制度的ボーナス」と改革開放の「政策的ボーナス」が根本的な要因である。人口は発展のボーナスの全てではない。労働力が減少しても、政策、技術、資本などの要素が補完し、支えとなり、一方的な影響を相殺する。
さらに人口ボーナスについて言えば、その持つ意味も時代と共に進化している。人口発展は数だけでなく質も重要だ。教育水準や国民の教養が著しく向上する中「人口ボーナス」は消えるどころか、今や「人材ボーナス」という形で、成長の空間を開く役割を果たしている。「人材ボーナス」を発揮して、科学技術イノベーションや産業のアップグレードの推進につなげることは、まさに「人口の質の高い発展によって中国式現代化を支える」という目標の本質的な課題だと言えよう。
人口とボーナスは、単純な足し算や引き算の問題ではなく、複数の変数とアルゴリズムを含む多元的な関数に例えるべきだ。高い視角から分析することで、その本質を徹底的に解析することができる。
人口ボーナスは増加分だけでなく、貯蓄量にも注目する必要がある。新たな世代だけでなく、ますます活躍する「高齢世代」にも焦点を当てるべきだ。
かつて、高齢者は情報化時代のペースについていけないと心配されていた。しかし、今や多くの高齢者がショートビデオを視聴し、ネットショッピングに熱中し、自らインフルエンサーやEコマース事業者となり、ジャンルを越えて活躍している。1億7000万人の中国の高齢インターネットユーザーが、インターネットに新しい活力を注入している。このような現象が人口ボーナスの持続性に与える効果は軽視できない。
他の分野を見ても、高齢者は活気に溢れている。観光地ではアウトドア用品やカメラを携え、若者に負けない体力で戸外活動を楽しむ姿が見られる。ジムやスキー場でカロリーを消費し、教育プラットフォームに積極的に参加し、知識に投資する姿勢は「老いても学び続ける」を体現している。中高齢者の文化観光消費は7000億元(約13兆9300億円)を超え、オンライン教育の利用者約3500万人、マラソン参加者が年々増加するなど、60代から70代はまさに「突き進む」年代となっている。
「老」は必ずしも「富」の障害にはならない。
「シルバー経済」が政策文書に盛り込まれ、脚光を浴びている。「銀髪パワー」が年間流行語に選ばれ、注目を集めている。また、高齢者の診療に同伴する医療支援や回顧録の代筆などが、若者にとっても新たな収入源が生まれている。
身近な事例でもビッグデータの解析でも、より良い生活を求める数億人の「シルバー世代」の需要が、巨大な潜在市場となり、経済成長の原動力と社会発展のチャンスとなることが示されている。
政府が発表した『高齢者介護サービスの改革発展に関する意見』では「適切に分類した普遍的で利用可能な、都市と農村をカバーする持続可能な高齢者へのサービス体系の整備」や「高齢者介護事業と養老産業の活力をさらに引き出し、多くの階層の高齢者に対する多様な介護サービスのニーズを十分に満たすこと」が明確に提言されている。
「老」に焦点を当て、新たなボーナスを創出する、この中央政府のトップレベルの設計が、未来の発展方向を明確に示している。
もう少し視野を広げて言えば、少子化と老齢化の両方に対してまとめて対応する時には、どちらか一方だけの対策とならないよう注意しなければならない。
改革の全面的な深化をさらに進め、開放政策を拡大し、人口発展の新たな情勢の下で、中国式現代化を実現するための新しい動力源を継続的に提供しなければならない。
新しい時代の中国には、老若を問わず、誰もが同じ目標を目指し、それを実践する条件が備わっている。自信を持って、より良い生活を築いていくことができる。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews