【6月12日 東方新報】中国・海南省(Hainan)観光・文化・ラジオテレビ・スポーツ庁の国際および港澳台市場推進課の宋実調(Song Shidiao)査官は8日、「2025年6月9日時点で、通常旅券を所持する85か国の人びとが海南にビザなしで訪問できるようになります」と語った。ビザ免除政策が拡大を続ける中、海南省は海外旅行者にとってますます人気の高い観光地となっている。

 現在、海南省三亜市(Sanya)で開催中の「何以中国・海南を歩く——海外華文メディアによるHainan Travelの発見」イベントの場で、宋氏は19の国・地域から訪れた華文メディア関係者や外国人インフルエンサーに、海南観光の国際化の進展について紹介した。

 2018年に、海南は59か国からの訪問者に対しビザ免除措置を導入し、滞在期間は一律で30日間に延長された。団体旅行でのビザ免除も、個人旅行にまで拡大された。2024年にはこの政策が「連続ジャンプ」の形で大きく進化し、59か国の入国事由が拡大されたほか、香港・マカオ地区からの外国人観光団には144時間のビザ免除措置が導入され、乗り継ぎ目的の外国人の滞在時間も240時間まで延長された。海南は新たに乗り継ぎビザ免除政策の対象地域にも加わった。

 さらに今年6月には、中国はブラジル、アルゼンチンなどを対象に通常旅券保持者へのビザ免除を試行し、その後もサウジアラビアやオマーンといった国々に対して同様の措置を導入予定である。6月9日時点で、59か国の海南入境ビザ免除政策と、全国規模で適用される二国間の相互ビザ免除(27か国)、一方的なビザ免除政策(47か国)が組み合わさり、計85か国の通常旅券保持者が海南省にビザなしで入境可能となる。

 こうしたビザ免除政策の効果は、観光客数の増加という形で確実に表れている。海口出入境辺防検査総隊の統計によると、過去3年間に海南省を訪れた外国人旅行者のうち、ビザ免除で入国した人が全体の81%を占めており、外国人旅行者が全体の入国者に占める割合は42%に達している。今年第1四半期には、海南省への出入国者数が63万4000人にのぼり、前年同期比で10.4%増加した。このうちビザ免除で入国した外国人は前年より約7割増となり、外国人旅行者全体の約9割を占めている。

 海南自由貿易港の建設が進むにつれ、外国人の海南訪問はますます自由で便利になり、観光やビジネスが盛り上がりを見せている。今年開催されたボアオ・アジアフォーラム(Boao Forum for Asia)2025年年次総会、第5回中国国際消費財博覧会、海南島一周国際自転車レースといった主要イベントでは、展示会やスポーツ大会への参加、商談、視察などを目的として海南を訪れた外国人が、前年同期と比べておよそ95%増加した。

「海南は、より開かれた姿勢で世界を迎え入れています」と宋氏は語る。離島免税ショッピング制度のアップグレード、国際航空路線の拡充、観光目的でのビザ免除制度の最適化などを通じて、海南では国際観光の利便性が着実に向上している。島を一周する観光道路は山と海の絶景をつなぎ、テーマパーク、文化遺産、熱帯雨林の秘境、ウェルネスリゾートなど多彩な観光資源が次々に生まれ、旅行者に多様で豊かな体験を提供している。

「Hainan Travel」はその人気をさらに高めている。近年、海南省は東南アジア、北東アジア、ヨーロッパなどの重点市場で「海南ホットウェーブ」プロモーションツアーを展開し、海外の関連機関と連携して観光プロモーションセンターを設置してきた。国際ヨットレースや海南国際映画祭といったイベントブランドを育て、サーフィン、ダイビング、ゴルフなどの高付加価値型レジャー商品や、リー族・ミャオ族の文化体験など、世界中の観光客の多様なニーズに応えている。

 宋氏は「海南省は、新しいメディアの潮流を積極的に活用し、世界中のSNSやインフルエンサーと連携して、ショート動画やライブ配信といった生き生きとした手法で、海南省の青い海と空を『ゼロ距離』で世界に届けています」と語った。消費の吸引力、文化の発信力、サービスの競争力を兼ね備えた国際観光地としての海南省は、今まさに設計図から現実へと着実に姿を変えつつある。(c)東方新報/AFPBB News