中米貿易の「不均衡」は本当か
このニュースをシェア
【6月11日 Xinhua News】米国は最近、一方的な関税措置を相次いで講じ、世界の経済・貿易活動を大きく混乱させ、世界経済の成長見通しに悪影響を及ぼしている。中国に対する関税引き上げでは、両国間の「不均衡」が主な口実となっている。だが実際には、経済・貿易問題を安全保障と結び付けて論じる米国の姿勢こそが根本的な問題であり、こうした発想は、各国の協力やウィンウィンの最大の障害となる。
中米貿易が「不均衡」であるかについては複眼的な考察が必要となる。
まず「不均衡」の実態をよく見極めなければならない。米国はそもそもサービス貿易で大きな優位性を持つわけだが、モノの貿易だけを見ても、米政府によるハイテク企業への輸出規制によってハイテク製品の輸出が長期的に滞ることになった事実を忘れてはなるまい。米国は経済・貿易問題を安全保障と結び付け、各種の規制政策や措置を次々と打ち出し、その範囲は広がり続け、強度も増している。米国の貿易赤字拡大は、自国の政策による必然的帰結である。
次に、経済・貿易往来全体でのバランスを考慮しなければならない。一国の総体的貿易状況は、相手国ではなく、自国のマクロ経済構造によって決まる。モノの貿易における中米間の偏りは、米国経済の構造的問題から生じたものであるとともに、両国の比較優位と国際分業体制の結果でもある。米国の貿易赤字の主因は、数十年にわたる製造業の衰退とサービス業の拡大にある。米国は大量の商品を輸入に依存するようになった一方、サービス貿易では顕著な優位性を有する。中国にとって米国はサービス貿易赤字の最大の相手国であり、赤字幅は拡大の傾向にある。モノとサービスの貿易、そして企業の現地法人による売上高という三つの側面を総合すれば、中米双方の経済・貿易往来による利益はおおむね均衡していると言える。
さらに「不均衡」の推移についても検証する必要がある。統計によると、中国の対外貿易依存度は2000年代初頭の60%以上から24年には30%強へと低下した。内需活性化の絶え間ない取り組みと国内循環の拡大に伴い、今では消費が中国経済成長の最も重要なエンジンとなっている。中国は貿易黒字を目的としているわけではなく、経常収支黒字の対国内総生産(GDP)比は07年の9・9%から24年には2・2%に低下している。
中米貿易の「不均衡」はそもそも成り立たない命題である。両国には実際のところ、広大な共通利益と協力余地があり、その経済・貿易関係の本質は互恵ウィンウィンである。国交樹立以来、両国は一貫して経済・貿易分野で協力を深めてきた。両国は互いに重要な貿易パートナー、双方向の投資パートナーであり、かつて国際金融危機の時に共に困難に対応したこともある。それは市場の力に基づく必然的な選択であったが、それ以上に「小異を残して大同につく」という知恵と大局観を双方が共有していたためだ。これまで繰り返し表明してきたように、中国は質の高い発展の推進とハイレベルな対外開放の拡大を揺るぎなく進め、市場化・法治化・国際化した一流のビジネス環境の構築に努めている。米国企業が引き続き中国に投資し、発展のチャンスを共有し、中米関係の安定、健全、持続可能な発展の推進に貢献することを歓迎する。米シリコンバレーの有名インキュベーター「ファウンダー・スペース」のスティーブ・ホフマン最高経営責任者(CEO)は「繁栄を実現する最良の手段は高い塀を築くことではなく扉を開くことだ」と述べている。
歴史が繰り返し示してきたように、経済・貿易問題を政治問題化、道具化、武器化、安全保障問題化し、どちらの側につくか企業に迫り、経済法則に反した選択をすることは、市場ルールと開放の大勢に合致せず、中米両国と両国人民の根本的利益にも合致しない。協力すれば双方に利益をもたらし、対立すれば双方が傷つく。両国の経済・貿易協力は互恵ウィンウィンをもたらす理にかなった選択である。(c)Xinhua News/AFPBB News