【6月11日 AFP】フランスの法律事務所は11日、テスラ車のリース契約を結んでいる約10人の依頼人が、テスラ車は「極右」の象徴と化したとして、実業家のイーロン・マスク氏が最高経営責任者(CEO)を務める米国の電気自動車(EV)大手テスラを相手取り、訴えを起こしたと明らかにした。

法律事務所GKAによると、依頼人は「イーロン・マスク氏の行動」とテスラ車が結び付けられることで「直接的かつ具体的な」損害を被ったと考えているという。

GKAの声明によると、依頼人はパリ商業裁判所に対し、リース契約の解除と法的費用の返済を求めている。

マスク氏はつい最近まで米国のドナルド・トランプ大統領を強く支持し、「政府効率化省(DOGE)」の責任者を務めた。

また、ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を公然と支持し、トランプ氏が大統領に就任した際のイベントでは「ナチス式敬礼」に似ていると多くの歴史家が捉えたジェスチャーを繰り返し、非難を浴びた。

GKAは声明で、「イーロン・マスク氏の行動により、テスラブランドの車は強力な政治的シンボルとなり、今や紛れもない極右のシンボルに見えるようになった。革新的で環境に優しい車を所有することだけを目的にテスラ車を入手したユーザーにとっては、非常に残念な結果だ」と表明。

依頼人は、リースしたテスラ車のイメージのせいで、「自分の車を十分に楽しむことができない」としている。

テスラ車の大半のリース契約は4年間で、契約終了時に車を購入するオプションがある。

マスク氏の政治活動が原因で、年初から欧州連合(EU)におけるテスラ車の販売台数はほぼ半減した。

欧州その他の地域でテスラ車は破壊行為の標的となっており、中には、自身のテスラ車に「この車を買ったのはイーロンがおかしくなる前」と書かれたステッカーを張っている人々もいる。

AFPはテスラに取材を申し込んだが、コメントは得られなかった。(c)AFP