【6月11日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領は10日、南北戦争の南部連合の将校をたたえた米軍基地名の復活を命じたと明らかにした。

ただし、改称前の名称に戻されるものの、一種のレトリックがあり、奴隷制度を南部で維持するために戦った将校ではなく、表向きは、同姓の別の軍人をたたえるためとされる。

トランプ氏は、国内最大の軍事基地フォートブラッグで演説。同基地のもともとの名称はフォートブラッグだったが、南北戦争当時、奴隷制を支持した南部連合の大将にちなんでいたことから、ジョー・バイデン前政権は2023年にフォートリバティに改称。しかし、トランプ氏が2月にフォートブラッグの名称に再び戻した。

トランプ氏は兵士を前に、「われわれは他にも名前を復活させ、フォートピケット、フォートフッド、フォートゴードン、フォートラッカー、フォートポーク、フォートA・P・ヒル、フォートロバート・E・リーに改称するつもりだ」と表明。

「わが国は、こうした基地から多くの戦いに勝利した。(名称を)変えるべきではない」と主張した。

2020年に黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官に暴行を受けて死亡したことを機に、人種差別に抗議するデモが全米に広がり、奴隷制維持を掲げた南部連合の将軍らの名前を冠した米軍基地の改称を求める声が高まった。

今回の措置は、その動きを覆すものとなる。

国防総省は10日、新たな基地名は、南軍将校の姓と同じだが、実際は違う退役軍人をたたえるためのものだと主張。

例えば、もともとのフォートブラッグは南軍のブラクストン・ブラッグ将軍をたたえたものだったが、復活されたフォートブラッグは、ローランド・L・ブラッグを記念するためのものだとしている。ローランド・L・ブラッグは、第2次世界大戦の英雄だが、知名度は低い。(c)AFP