韓国・李在明大統領に対する検察捜査、事実上全面中断へ…憲法84条「不訴追特権」適用か
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【06月09日 KOREA WAVE】韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領に対する複数の検察捜査が、現職大統領に与えられる「不訴追特権(憲法第84条)」により、事実上全面的に中断される見通しとなった。
法曹界によると、イ・ジェミョン大統領は選挙期間中に複数の発言をめぐって政治的に刑事告発されていた。主な内容は、公職選挙法上の「虚偽事実の公表」に該当するというものである。
ソウル中央地検は、イ・ジェミョン大統領が世界的投資家ジム・ロジャーズ氏の「支持表明」を引用した発言をめぐって虚偽事実を流布したとされる件を、公判担当の公共捜査第2部に配属。告発者であるソウル市議らは「当選を目的に事実でない支持発言を公表した」と主張している。
一方で、同じく選挙期間中に問題視された「コーヒー原価120ウォン」や「HMM本社の釜山移転に社員が同意」などの発言に関する告発案件については、中央地検刑事第5部および公共捜査第2部からソウル警察庁に移送された。
イ・ジェミョン大統領をめぐっては、すでに水原(スウォン)や城南(ソンナム)など複数地域で捜査が進行中の案件も存在する。水原地検・城南支庁は、イ・ジェミョン大統領が城南市長在任中に特定の民間業者に対して分譲地区開発に特典を与えたという疑惑を捜査中。また、水原地検は2021年の大統領選候補時代に双竜グループのキム・ソンテ前会長から分割献金を受けたとする資金疑惑も追っている。
ソウル中央地検の反腐敗捜査1部と3部は、大庄洞(テジャンドン)開発をめぐる428億ウォンの収賄疑惑、および2020年の公職選挙法違反事件で無罪判決となった裁判において裁判取引があったとする疑惑をそれぞれ調査している。
しかし、現職大統領は憲法84条により「内乱罪または外患罪を除き、在任中は刑事上の訴追を受けない」と規定されており、実質的にすべての捜査は停止せざるを得ないというのが大方の見方である。「訴追」が「起訴」のみに限定されるのか、それとも捜査全体を含むのかについては解釈が分かれるものの、国政の混乱を避ける観点からも、事実上の捜査停止が慣例となっている。
過去にも現職大統領が内乱罪以外で捜査を受けた例はなく、12月3日の非常戒厳令発令によって内乱罪の問われたユン・ソンニョル(尹錫悦)氏も、大統領選の際に問題視されたドイツモーターズ株価操作疑惑については、弾劾後に初めて本格捜査が始まった。
ある検察出身の弁護士は「強制捜査や召喚などを伴う本格捜査は現職大統領には適用できない。したがって、事実上の捜査中断は避けられないだろう」と述べた。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News