【6月9日 Xinhua News】サツマイモは四方につるを伸ばして日光や養分を集めるが、実際に実を結ぶのは根元の塊茎(かいけい)だ。つるが広がる目的は塊茎をより大きくすることにある――。中国で最近、開放型の経済発展モデルをサツマイモの成長を例に説明する「サツマイモ(地瓜)経済」という理論が再び脚光を浴びている。

 この考え方は、習近平(しゅう・きんぺい)国家主席が浙江省勤務当時の2004年8月に地元紙「浙江日報」のコラム「之江新語」で発表した短評で提起された。「より大きな空間でより大きな発展を実現する」と題したこの文章で、習氏は、サツマイモのつるを対外開放、塊茎を本土経済に例え、「浙江を飛び出し浙江を発展させる」という理念をわかりやすく説明した。

 中国共産党中央党校(国家行政学院)国際戦略研究院講師の楊路(よう・ろ)氏は「サツマイモ経済」について次のように解説している。

 サツマイモが育つ過程で「塊茎」と「つる」はエネルギー循環の関係にある。つるは塊茎に養分を運び、塊茎はつるの成長にエネルギーを提供する。塊茎が力強く育つことは、つるが伸びる土台となる。企業の海外進出においても同様で、本国の経済が安定的に発展してこそ、企業の堅固な後ろ盾となり、国際市場で競争力を持つことができる。

「つる」の成長の良しあしは「塊茎」が外部から得られる栄養の量を左右する。海外に進出した企業がなかなか伸びず、外部の市場や資源の助けを得られなければ、本国の経済発展もボトルネックに直面することになる。

 サツマイモの収穫という観点から見ると「つる」が伸びる目的は「塊茎」を大きくすることにある。これを経済に当てはめれば、対外開放を進める最終目標は本国の経済発展だということになる。

「サツマイモ経済」理論が浙江省で提唱された背景には、天然資源が少なく、市場規模にも限りがあるという同省の事情があった。地域の経済を成長させるためには、対内・対外の開放水準を高め、「浙江を飛び出し浙江を発展させる」必要があった。

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 理論提唱から20年余り。浙江省ではその効果が継続的に表れている。23年には「サツマイモ経済」の強化を図る「1号開放プロジェクト」を打ち出した。ますます多くの企業が海外に進出し、自社の実力を高めるとともに、地元の「塊茎」をますます成長させている。

 楊氏は「サツマイモ経済」について、開放と革新、「実事求是(事実に即して真理を求める)」、「以人為本(人を中心とする)」という発展理念を掲げたことが大きな貢献だと指摘する。

「開放を通じて資源配分を最適化し、先天的な発展のボトルネックを打破し、広範な人民が発展の成果を享受できるようにするというこの先進的な理念は普遍性を備えている」。楊氏は、各地方が「サツマイモ経済」の発展理念に学び、自らの資源の恵みを生かした最適な発展の道を選択することに期待を示した。(c)Xinhua News/AFPBB News