「二つの魚の循環」から消費成長の新空間を考察・中国
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【6月10日 Peopleʼs Daily】中国市場の活力をどう洞察するか?
これに関しては、国産ウナギと輸入サーモンの「二つの魚」が示す国内と国外の「ダブル循環」が、新たな観察の視点を提供している。
第一の魚は四川省(Sichuan)を代表する特産品に与えられる称号「川字号」のウナギである。四川省にはウナギの養殖基地があり、成都市(Chengdu)には加工企業がいる。ウナギは全部で32の工程を経て加工され、中国と欧州を結ぶ国際定期貨物列車「中欧班列」などを利用して世界中の食卓に届けられる。
現在、「川鰻(四川のウナギ)」の年間生産量は1300トンを超え、加工量は800トンを超えており、その9割以上が海外に輸出されている。
天然捕獲に依存していた時代から、淡水養殖と産地近郊での加工へと移行し、中国は現在、世界最大のウナギ養殖とその最大の輸出国になっている。
これは国内の水質安定と優れた水源に支えられた良好な生態系に加え、養殖と加工、国内販売と輸出との連動がカギとなっている。今年、養殖基地は数量と品質の向上をさらに推進し、「入口から出口まで」の安全性と品質を確保する方針だ。
第二の魚はノルウェーのサーモンである。最近、東方航空物流(China Eastern Air Logistics)傘下の「東航冷鏈物流(East Air Cold Chain Logistics)」運営による欧州生鮮食品定期チャーター便が就航した。これを利用したノルウェーのサーモンが約8000キロを飛行して、直接湖北省(Hubei)鄂州市(Ezhou)に届いた。所要時間はわずか11.5時間だ。この商品は中国国内の空陸コールドチェーンの連絡網を経て、各地に迅速に配送されている。
データによると、2024年のノルウェーの中国向け水産物輸出量は18.2万トンに達し、前年比14%増加した。ノルウェーの水産物輸出にとって、中国はアジア最大の市場となり、世界でも最も急成長する市場となっている。
急成長の背景には、14億人を超える大規模市場の消費のアップグレードの勢いと旺盛な現代化の潮流が、各国に新たなチャンスを提供し続けていることがある。
中国産のウナギが世界へ「泳ぎ」、ノルウェーのサーモンが中国へ「飛ぶ」、この繁栄する市場と相互利益の物語は、中国が世界経済と深く融合し、国内と国際間の2つの循環を相互に促進し、円滑に機能させる中で、経済成長の新たな空間が持続的に開拓されていることを表している。
新たな成長の基盤は「内」にある。大国経済の重要な特徴は、内需主導で内部循環が可能な点である。中国は世界最大の成長性を持つ消費市場だ。そしてその成長性は政策の支援に支えられている。
自動車消費を例に取ると、「両新政策(大規模設備更新と消費物資の新旧交換支援)」により、24年の乗用車販売台数は前年比5.8%増加した。 複数の機関の試算によると、支援政策による国内乗用車販売の増加効果は200万台から250万台の間と推計されている。
これにより、ガラスなどの上流原材料産業、自動化生産などの中流製造業、保険などの下流サービス業が共に活況を呈している。
活力は圧力に勝り、チャンスは障害を上回る。国内市場の規律を正確に把握し、内需の潜在力を深く掘り起こすことで、経済の健康で持続可能な発展は、さらに推し進められることになる。
新たな空間のカギは「通」にある。国内大循環の円滑化や双循環の促進には、ボトルネックの解消と難題の解決が不可欠だ。
地域を例に取ると、雲南省(Yunnan)や広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)などは、東南アジアに隣接する地理的優位性を活かし、産業チェーンの連携強化や資源共有を軸にした国際協力方式を積極的に模索している。
全体を見渡せば、中国は規則、規制、管理、スタンダードなど制度面の開放を着実に拡大し、国内市場の魅力を高め、より多くの外資企業が中国に「信任票」を投じるよう促す必要がある。
国内大循環を通じて、世界各地の資源要素を呼び込み、商品・資本・情報・知識の流通を低コストかつ高効率で実現することにより、中国経済の内在的成長力と発展戦略における主体性を強化することができる。
外部からの衝撃の影響に直面すればするほど、「国内と国際のダブル循環」の価値が明確になる。中国はすでにグローバル・サプライチェーンとバリューチェーンに深く組み込まれており、「あなたの中に私がいて、私の中にあなたがいる」というまさに「相互に依存する世界構造」は世の「大勢」である。このプロセスの中で、資本の移動や産業の移転は正常な現象だ。
一部の産業が国外に流出する動きもあるが、それと比べて中国が導入している産業は、より高度で質の高いものである。
同時に、中国企業は積極的に海外に進出し、高品質な製品、技術、設備、管理、サービスで国際社会から幅広く評価を得ている。
「国内外のダブル循環」の良性の相互作用の中で「ウィンウィン協力」「互恵互利」がより多くを占め、いわゆる「外資の撤退」「経済的圧迫」が主流とはなっていない。
「主要な流れ」を認識し、「世の大勢」に順応し、「求同存異(相違点は残し共通点を求める)」「聚同化異(共通点を集め、相違点を転化させる)」を推進し、自己の利益と他者の利益とを両立させる発展を実現することで、初めて「あなたも私も、皆が幸せ」という関係が築けるのだ。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News