現時点でのパレスチナ国家承認は「誤ったシグナル」 ドイツ外相
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【6月6日 AFP】ドイツのヨハン・ワデフル外相は5日、パレスチナの国家承認について、他の欧州諸国が承認に向けて動いているにもかかわらず、今承認すれば「誤ったシグナル」を送ることになると述べた。
ワデフル氏は首都ベルリンでイスラエルのギドン・ザール外相と記者会見し、イスラエルとパレスチナが平和的に共存する「2国家解決」へのドイツの支持を強調しつつも、「まずはイスラエルとパレスチナの間の交渉がまとまらなければならない」と述べた。
スペイン、アイルランド、ノルウェーは1年前にパレスチナ国家を承認しており、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は同国も6月までに承認する可能性があると述べている。これに対し、イスラエルはマクロン氏を「ユダヤ人国家に対する十字軍」だと非難している。
ドイツは「ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)」の償いをしようと努め、長年イスラエルの最も揺るぎない支援国の一つだった。だが最近は、パレスチナ自治区ガザ地区での紛争をめぐってイスラエルへの批判を強めている。
ワデフル氏は、紛争で荒廃したガザの民間人に届く援助は「あまりにも少な過ぎる」と指摘し、国際法で義務付けられている「ガザへの人道支援を許可するよう、サール氏に改めて要請した」と付け加えた。国連は先月、ガザの住民全員が飢餓の危機にひんしていると警告していた。
ワデフル氏は、イスラエルにはイスラム組織ハマスなどの敵から自国を守る権利があり、「したがって、ドイツは当然のことながら、武器供与を通じてイスラエルを支援し続ける。そのことに疑問の余地はない」と強調した。
イスラエルのサール外相は同日、ベルリンのホロコースト記念館で演説し、イスラエルは「イスラエルの消滅を求める敵に囲まれている」と述べ、ハマスはナチスだとして、「ハマスとナチスの唯一の違いは能力だ」と主張。
パレスチナ国家の樹立は「最大の褒美が殺人者に提供されることを意味し、イスラエルの中心部に新たなテロ国家が樹立されることを意味する」と述べた。(c)AFP