【三里河中国経済観察】民間経済促進法が施行 初の制度化で企業支援
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【5月27日 CNS】民間経済の発展を支援する取り組みは、かつてないほどの力強さを見せている。
中国初の民間経済振興に特化した法律である「中華人民共和国民営経済促進法」が、5月20日に正式に施行された。2023年12月に初めて立法が提案されてから公布・施行まで、わずか1年半に満たないスピードで成立したことは、中国の立法史においてもまれな例とされている。
これに先立ち、5月8日に国務院新聞弁公室が記者会見を開き、本法に関する詳細を紹介した。内容はきわめて豊富で注目度が高い。
この法律は、いくつもの「初」を打ち立てた。民間経済促進法は、民間経済の発展を専門に扱う初めての基礎的法律であり、中国における社会主義市場経済の構築にとって象徴的な出来事であると同時に、民間経済発展の歴史における重要な節目となる。
例えば、「二つの『揺るぎない原則』」を法律に初めて明記したほか、民間経済の法律上の地位を明確に定めた点や、「民間経済の持続的・健全かつ高品質な発展は、国家が長期的に堅持すべき基本方針である」と法的に位置づけたのも初めてのことだ。
北京師範大学(Beijing Normal University)法学院の博士課程指導教員である呉沈括(Wu Shenkuo)氏は、これら「初めて」の取り組みは、国家が法治の視点から民間経済の難題に取り組む強い決意を示すものであり、改革の成果を確固たるものにし、市場における安定した期待を形づくる重要な措置だと評価している。
呉氏は、今回の法律が、従来の一時的な政策支援から、法制度による長期的保障へと転換したことで、長年存在していた政策と法の接続不足という問題を解消し、民間企業に安心感を与えるとともに、発展への予見性を高め、ビジネス環境の改善や企業活力の喚起に向けた制度的支えとなると指摘した。
この法律は、民間企業の関心にも積極的に応えている。長年、複数の内外要因が重なり、民間経済は市場競争への公平な参加や、生産要素の平等利用、資金調達支援、サービス保障、さらには合法的権益の保護といった面で、多くの困難と課題に直面してきた。
今回の記者会見では、国家発展改革委員会の関係者が、民間経済促進法がこうした問題に的を絞って制度的な配慮を盛り込んだことを明らかにした。たとえば、市場参入については、全国統一のネガティブリスト制度の実施や、公平競争審査制度の導入を通じて、「非禁止=参入可」という原則を法的に保障している。
また、生産要素の平等利用については、資金、技術、人材、データ、土地といった要素および公共サービス資源を、民間経済主体が法に基づいて平等に使用できることを保証している。
さらに、民間企業および経営者の人身の自由、財産権、経営の自由といった権利が法律によって保護されること、そしてそれらが侵害されてはならないことも明確に定められている。
呉沈括氏は、「非禁即入(禁止されていない限り参入可)」「一視同仁(平等な扱い)」「不得侵犯(侵害不可)」という3つの原則が、公平な競争環境を実現するための法治の枠組みを形づくっていると説明した。「非禁即入」は、リストに含まれていない産業に対して民間企業の平等な参入を認め、民間投資の活力を引き出す。「一視同仁」は、制度面から市場参入における障壁を取り除き、民間企業の権利や機会の平等を保証する。そして「不得侵犯」は、民間企業が権利を守る上で直面してきた難しさに応え、法的責任を明確にすることで、安全な経営環境を築くと述べた。
では、なぜ民間経済の発展に法律が必要なのか。重要なのは、法的に民間経済の正当な地位を明示することで、現実に存在する様々な制約を打破することにある。最近では、国家発展改革委員会が関係機関とともに新しい市場参入ネガティブリストを発表したほか、市場参入障壁の整理・撤廃を進め、民間企業が公平に入札に参加できるよう働きかけている。
その成果として、2024年1月から4月までの間に、民間企業の落札率は前年同期より5ポイント上昇し、1億元(約19億9423万円)以下のプロジェクトでは民間企業が落札した案件が全体の80%以上を占めたという。
呉氏は、より深い視点から見ると、平等な保護や公平な競争といった原則を法律によって制度化することで、これまで欠けていた強制力や実効性、権威性を補い、民間企業にとっての信頼と安心感を築くことができると強調した。これは法治の力によって、民間経済の長期的発展の基盤を固めるものである。
民間経済促進法は、単なる権益保護法ではない。この法律は、制度の構築を通じて、民間経済に対して「身分の確認」「権利の保護」「発展の後押し」という一連のプロセスを一体化させる完全な仕組みをつくり上げた。歴史的観点から見ても、現在の発展の分岐点から見ても、この法律は民間経済の発展史における重大な突破口となるに違いない。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News