【5月26日 東方新報】AIがピアノを演奏し、人間とAIが囲碁で対決、さらにデジタルアルゴリズムによる刺繍……5月22日に開幕した第21回中国(深セン)国際文化産業博覧交易会(以下、文博会)では、テクノロジーによって進化した中国文化製品が高度な技術力を披露し、AIの活用シーンが多くの注目を集めた。

 今大会は「イノベーションがトレンドを導き、創造力が生活を照らす」をテーマに掲げ、世界65か国・地域から305の出展者が参加。その中でも、「テクノロジー+文化」の革新的な展示が文博会のハイライトのひとつとなっている。

 深セン市(Shenzhen)の火狗智能電子科技有限公司のブースに足を踏み入れると、2体の「醒獅(Xing Shi)」ロボットが跳ねたり、まばたきをしたり、尾を振ったりと生き生きとした動きを見せ、来場者の目を引いていた。同社の営業部長・馬嘉良(Ma Jialiang)氏によれば、このロボットは広東(Guangdong)地方の伝統舞踊「醒獅」をモチーフに、赤と黄色を基調にした伝統の配色を活かしてデザインされている。動作にあわせて伝統文様が点灯するなど、勇壮かつ機敏な獅子の表情を保ちつつ、可愛らしい犬のような外観も取り入れた。複数の関節モジュールと内蔵センサーによって、高度な動きと観客とのリアルタイムなインタラクションを実現しているという。

「現在、中東のクライアントとも商談を進めており、彼らは中国の伝統文化要素を備えたロボットに非常に関心を示しています」と馬氏は語る。同社はテクノロジーと中国伝統文化を組み合わせた製品を次々と開発し、多くの海外バイヤーの注目を集めている。

 文博会組織委員会のオフィス主任・劉蕾(Liu Lei)氏によれば、今回の文博会では「テクノロジーによる文化産業の強化」に焦点を当てており、初めてAI専用の展示エリアを設置。60社以上のAI関連企業を招待し、AIの応用全体像の展示、AI技術によるパフォーマンス、AIとの共創インタラクションなどを通じて、新たな生産力や文化産業の新たな形、そして新しい消費体験を提示している。

 広東省の展示団は、「文化+ロボット」「文化+AR/MR/VR」「文化+スマートモビリティ」「文化+スマートホーム」「文化+デジタル越境(海外展開)」という6つのテーマでブースを展開。その中でも、華為技術(ファーウェイ、Huawei)のHarmonyOSを搭載した広州汽車集団(Guangzhou Automobile Group)のスマートコックピットは、来場者の関心を大きく集めた。搭乗者はこのコックピット内で、広州星海音楽ホールやヤマハ(Yamaha)音響といった一流の芸術コンテンツをワンタッチで楽しむことができ、テクノロジーと文化の融合を肌で感じられる構成となっている。

 北京展区では、大型の裸眼3D視覚装置を使った「北京中軸線の『人』字型アート」、中国の藻井(天井装飾)文化をテーマにした没入型デジタルアート空間「穹天玉宇」、さらにはVR技術を使った宇宙探査ゲーム「宇宙オデッセイ」などが展示され、伝統と現代の融合を空間全体で体験できる構成となっている。「最美中軸線」「北京文化フォーラム応接室」「山海を越えて北京と出会う」「古書と新知」「北京を信じる世界」など5つのテーマ別エリアが設けられ、多くの来場者が写真撮影や体験を楽しんでいた。

 山東省(Shandong)の展示団は、アニメ『名探偵コナン(Detective Conan)』に登場するメガネのようなAR技術を活用した「雷神AURAスマートグラスARライト版」(重さわずか79グラム)を文博会に持ち込み、まるでSF映画から飛び出してきたかのような「ブラックテクノロジー」を現実のものとして紹介した。

 多くの中国企業が文博会で披露した「文化+テクノロジー」の融合による実力は、中国文化製品の「取引力(マーケティング力)」を着実に高めている。深セン国際文化産業博覧交易会の方石玉(Fang Shiyu)総経理は「今回の文博会では、22の取引促進施策を特別に企画し、展示シーン・流通経路・サービスの3つの側面でさらに高度化を図った。『文化の深い港』と『新しい経済のブルーオーシャン』をつなぐことで、取引全体の拡張、産業チェーン全体の活性化、そして参加者にとって安心して商談できる体制を実現している」と述べた。(c)東方新報/AFPBB News