【5月26日 CNS】中国と米国は12日、「中米ジュネーブ経済貿易会談共同声明」を発表した。声明によれば、今回の中米高官級の経済貿易会談では実質的な進展があり、両国は二国間の関税水準を大幅に引き下げることに合意した。

 こうした会談の成果について、中国商務部の報道官は「この措置は両国の生産者および消費者の期待に応えるものであり、また両国および世界全体の共通利益にもかなっている」と述べた。

 今回の中米会談の重要な成果の背景には、注目すべき三つのポイントがある。

■第1の注目点:実務的かつ効率的な交渉

 今回の中米会談の最大の特徴は「実務的で効率的」であった点にある。

 中山大学(Sun Yat-sen University)国際関係学院の孫興傑(Sun Xingjie)教授は「今回の経済貿易会談は、初回の会談で早くも打開に成功したが、これは世界の貿易交渉の歴史の中でもまれな出来事だ」と評価した。彼によれば、米国が他の貿易相手国と交渉を行った場合、何度も協議を重ねてもここまでの実質的な成果が出ることは少ないという。

 実際、中米会談の進展についてはある程度の期待があった。現地時間の11日夜に会談が終了した際、双方は会談の成果を前向きに評価し、共同声明を出すと予告していた。

 しかしながら、短期間でこれほど多くの重大な細部が合意されたことについては、外部からも予想を超えた結果と受け止められている。対外経済貿易大学(University of International Business and Economics)WTO研究院の屠新泉(Tu Xinquan)院長は、「今回の会談では、双方が高関税の持続可能性に限界を感じていたという共通認識があった上で、特に米国側が早期の合意を強く望んでいた」と説明した。米国側は会談前に複数のルートから積極的に交渉を呼びかけており、背景には高関税が自国経済に与えている深刻な打撃があったとされる。

■第2の注目点:対等の原則

 会談に先立ち、中国側は「中米経済貿易関係の本質は互恵・ウィンウィンである」と繰り返し強調してきた。中米間に意見の相違があることは否定しないが、重要なのは互いの核心的利益と重大な関心を尊重し、対話と協議によって適切な解決を図るべきだという立場を示していた。

 米国が何度も関税を上乗せする圧力をかける中、中国は一貫して戦略的な冷静さを保ち、理性的に対応し、必要に応じて対抗措置を講じることで、自国の利益をしっかり守ってきた。

 今回の中米会談では、随所に「対等」の原則が反映されていた。たとえば、会談の開催地が第三国であるスイスのジュネーブとされたことは、一方の「主場外交(ホームアドバンテージ)」を避けた、形式的にも実質的にも対等な立場での交渉を象徴している。

 また、交渉結果においても「対等性」は顕著だった。双方ともに関税を91%削減することに合意し、争点となっていた分野に関しては、90日間の24%関税適用停止という一時的措置が取られた。

 孫教授は「対等の原則は中米会談の前提条件のひとつであり、交渉場所を第三国としたことで、交渉環境の中立性が確保された。これは外交上の対等性を表す新たな試みでもある」と述べた。

 屠新泉氏もまた、今回の会談を通じて「中米両国とも二国間の経済貿易関係を引き続き発展させたいという共通の意思を示した。対等な立場に基づく対話において、双方ともに誠意ある姿勢を見せたことが、今後の交渉の良好な土台となる」と評価した。

■第3の注目点:理性的な認識

 多くの事実と統計が示すように、今日のグローバル化された世界においては、中米両国の経済・貿易関係は深く絡み合っており、互いに補完し合う存在である。中国側はこれまでにも、中米間の経済関係は密接であり、「どちらか一方が得をして、もう一方が損をする」という単純な構図ではないと繰り返し述べてきた。

 しかし、米国国内の一部政治家はしばしば「中国とのデカップリング(経済切り離し)」や「サプライチェーンの分断」といった主張をしてきた。孫興傑氏は、「今回の会談における共同声明は、そうした『中米は切り離せる』という一部米国政治家の誤った主張に対する、強い反証になった」と述べている。

 さらに、孫氏は「中米経済の結びつきは単なる輸出入関係にとどまらず、サプライチェーンや産業チェーン全体の深い相互依存関係にある。むしろ、複雑に絡み合った『相互嵌入』の構造といえる」と指摘し、今回の会談の成果が、米国国内における中米経済関係への理解をより客観的かつ理性的なものへと促すことを期待している。

 最後に、ある専門家は「大国間の競争とは長期戦である」とした上で、今回の会談で双方が、経済貿易関係について継続的に協議を行う枠組みを設けることに合意した点に注目した。これは今後の対話や交渉にとって、前向きなシグナルとなる。ただし中国側としては、米国の姿勢がどうであれ、対立であっても協調であっても、常に一貫した立場を堅持し、戦略的な冷静さと主体性を保ち、自国の発展利益をしっかりと守っていく必要があると強調している。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News