【5月24日 AFP】男子テニス界はこの約20年間にわたり、「ビッグ3」として知られるラファエル・ナダル(スペイン)、ロジャー・フェデラー(スイス)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が支配してきたが、カルロス・アルカラス(スペイン)とヤニック・シナー(イタリア)がそれに匹敵できるかどうかは議論の余地があると、ナダルの元コーチであるカルロス・モヤ氏(48)がAFPの取材で語った。

現世界ランキング1位のシナー(23)と同2位のアルカラス(22)は、すでに四大大会(グランドスラム)で両者合わせて7度の優勝を果たしている。一方、すでに引退したナダルとフェデラー、そして現役を続けているジョコビッチの3人は、2003年から2023年までの間にグランドスラムで合計66個のタイトルをさらった。

元世界1位で1998年の全仏オープン覇者であるモヤ氏は、母国スペインのマヨルカ島でAFPのインタビューに応じ、「この15年、20年で彼ら(ビッグ3)が成し遂げたことを、この先また見ることができるかどうかは分からない」と語った。

シナーとアルカラスのライバル時代はこれからも数年間は続くとしつつ、「5年、7年は続くかもしれないが、多くのことが起こり得る」とし、「けがや家族の問題がある。メンタルヘルスの問題もあり、3年、4年、5年後には何が起こるか分からない」と述べた。

全仏オープンの男子シングルスで14回優勝したナダルの功績をたたえるセレモニーのために、25日に大会会場のローラン・ギャロスに戻る予定のモヤ氏は、男子テニス界で最も成功を収めたビッグ3の長寿のカギは互いのライバル関係との見解を示し、「彼らはお互いを限界まで押し上げた」「他の2人がいなければ、ラファ(ナダル)は4、5年前に16、18くらいのグランドスラム優勝で引退していたかもしれない」と語った。

自身もキャリアで多くを成し遂げたモヤ氏だが、ビッグ3には畏怖の念を抱いているといい、「私の野望は、史上最高の選手の一人になることではなかった。なぜなら、その夢を抱くレベルではなかったからだ」と明かした。

「つまり、私の夢はグランドスラムで勝ち、世界1位になることだったが、グランドスラムで何度も優勝し、数年間にわたって1位に君臨することではなかった」とし、3人とは競技の次元が違っていたと分析。「つまり、彼らの野望は信じられないほどで、やっていることがどれだけ精神的にストレスがかかるか、人々は気づいていない」と述べた。(c)AFP