【5月30日 Peopleʼs Daily】中国の大ヒットアニメ映画『哪吒之魔童鬧海(英題:Ne Zha2)』の主人公、火から生まれ変わった童子「哪吒」が、やはり同映画の主要キャラクター「敖丙」と共に「天元鼎」(超巨大な仙薬を煮る鼎の形をした怪物)を打ち破る映像、「サンフランシスコの街」を鳥瞰する現実感あふれ驚嘆を誘う迫真の映像など、中国映画は視覚効果の分野で革新的なブレークスルーを遂げ、年初から観客を興奮と満足で満たしている。

 近年、中国映画産業は急速に拡大し、中国映画視覚効果業界は技術水準、表現理念、映画の産業化推進などで過去を大きく凌駕し、強力な発展の勢いを示している。

 世界の単一市場で初めて興行収入10億ドル(約1452億4000万円)を突破した映画『哪吒之魔童鬧海』は、現在も興行収入が安定的に増加しており、キャラクター数は前作の3倍、特殊効果シーンは2000近く、制作チームは4000人を超え、映画のエンドクレジットには約140社の中国アニメーション関連企業名が列記されている。

 業界関係者は「現在の中国映画の視覚効果チームにとって、技術的に実現できない画面はほとんどない」と話す。

 中国映画芸術研究センターの研究員・李鎮(Li Zhen)さんは「『哪吒之魔童鬧海』の最終シーンで妖魔族と神仙界の大決戦のシーンに登場するキャラクター数はなんと2億を超えている。この作品の特殊効果を全て中国国内のチームが手掛けたことは、中国の視覚効果業界がこの分野で世界の最先端を走っていることを証明している」と述べている。

 中国映画の視覚効果技術の発展は、中国映画産業の急速な拡大がもたらした恩恵に支えられている。ますます多くの映画プロジェクトが視覚効果の支援を必要とする中で、中国の視覚効果技術は実践を通じて絶えず磨き上げられ、向上する機会を得ている。また、繁栄する映画市場は、観客の映画に対する視覚的表現への要求をますます高め、業界の発展に推進力を与えている。

 現在、AI技術は視覚効果の前段階の設計過程で大きな役割を果たし始めている。脚本の確定後、制作チームが映画の基本映像設計を初めて決定する時、AIはチームのために非常に短時間で数百枚から数千枚もの設計図を作成し、さらに視覚参考資料までも提供できる。

 1年前、米国オープンAI(OpenAI)の動画生成大規模モデル「Sora」が登場したことは、世界的に画期的な出来事だった。当時、中国国内には知的財産権を持つ自主開発の動画生成大規模モデルは存在していなかった。

 映像制作のハイテク企業「浙江時光座標科技(Timeaxis Digital Media)」の創業者・陳奕(Chen Yi)氏は「我々は昨年下期から、国内で開発された「可霊(Kling)」や「即夢(Jimeng)」などの動画生成大規模モデルを多用するようになった。チームメンバーは、国内の大規模モデルが中国をテーマにしたコンテンツにおいて、ますます優れたパフォーマンスを発揮していると感じている。我々が暮らすこの土地には、数千年にわたる中華の優れた伝統文化がある。国産の大規模モデルが視覚効果のクリエイターから読み取る中華の文化と美学に関する情報が豊かで正確であればあるほど、中国人の美学や感情表現に近づくことができる。国産の大規模モデルの発展は、我々視覚効果クリエイターに自信と意欲を与えている」と語った。

 映画産業の発展に伴い、視覚効果は、創作と制作プロセス全体の中でますます重要な役割を果たすようになった。現実的題材の映画であれ、アニメーション映画やSF映画であれ、監督や脚本家は、視覚効果なしに想像力を具現化することは困難になってきた。

 春節興行映画『唐探1900(英題:Detective Chinatown 1900)』を例に取ると、この作品には1100を超える視覚効果シーンがあり、制作チームは山東省(Shandong)徳州市(Dezhou)の「楽陵映画城」で当時のサンフランシスコの街並みを実物大で再現した。

 同作の視覚効果監督・許明軍(Xu Mingjun)氏は「作品の創作過程で、視覚効果チームは映画制作に向けたセットや人物・物体のスキャンとCGモデル化の準備のため、撮影チームと撮影の具体的な詳細を打ち合わせする必要があった。視覚効果チームのシナリオの読み合わせは俳優たちよりも早く始まる。映画制作の前期では事前準備、中期では撮影、後期では編集・合成・CG処理などポストプロダクションの全プロセスへの参画、常にリアルタイムでコミュニケーションを取り、撮影時には視覚効果プランとアクションプランとを統合する必要があった」と説明した。

 視覚効果業界はテクノロジーの核心技術の実力を示す代表分野であり、近年この業界の急速な発展は、中国映画の産業化レベルを常にレベルアップし続けている。

『哪吒之魔童鬧海』の成功は、国内の視覚効果水準を新たな段階に引き上げた。中国の視覚効果に携わる数百社が規模拡大化の作戦で、雨の表現に長じた会社、粒子効果に秀でた会社、キャラクター表現が得意な会社などが集結し、それぞれ特化した役割を担い、大作映画を完成させた。

 分業がより細分化され、産業チェーンがより完備されたことで、より多くの映画クリエイターに堅固な映画産業の基盤が提供されている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews