動画:南アフリカ国民 トランプ氏の「白人ジェノサイド」主張に激怒
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【5月23日 AFP】南アフリカ国民は22日、ドナルド・トランプ米大統領が南アのシリル・ラマポーザ大統領との会談でも白人に対するジェノサイド(集団殺害)が行われているとの根拠のない主張を繰り返したことに怒りの声を上げた。
21日に行われた首脳会談は、トランプ氏が1月に就任して以来、急速に悪化した二国間関係の修復を目的としていた。
大学生のニコール・ムベレさんはAFPの取材に対し、「不満だ」「彼(トランプ氏)は、私たちが土地のため、あるいは土地を取り戻したいという理由で、白人や白人農民を殺したがっているかのように見せかけた」と述べた。
会談中に放映された動画には、極左野党のジュリアス・マレマ党首が、反アパルトヘイト闘争で使われた「ボーア人を殺せ、農民を殺せ」を歌っている場面が映っていた。アパルトヘイトは多数派の黒人から政治的・経済的権利を剥奪する残忍な人種隔離政策で、1994年に廃止された。
トランプ氏はさらに、南ア政府が少数派のアフリカーナー(オランダ系を中心とする南ア生まれの白人)から土地を収用しているという根拠のない主張を繰り返した。アフリカーナーは、商業農地の4分の3以上を所有している。
販売員のナレディ・モーワレさん(25)は、「ドナルド・トランプ氏は南アで何が起きているかについて、事実を知らない」「わが国について虚偽の告発をしている」と批判。
「私たちは皆、あらゆる種類、あらゆるレベルの犯罪に直面している。黒人も白人もだ」と付け加えた。
南ア国民はテレビで生中継された首脳会談を見守った。その多くは南ア代表団の働きぶりに満足したようだ。
ラマポーザ氏はトランプ氏の根拠のない「白人ジェノサイド」の主張をもっと強く否定できたはずだという意見がある一方で、南アの高い犯罪率に最も苦しんでいるのは黒人だという冷静な反論を評価する声もあった。
活動家のウルリッヒ・スティーンカンプさんは「わが国がよくやったと思う。実際に事実を示して見せた」「世界がどう反応するかは世界次第だ」と述べた。
会議中に放映された動画には、殺害された白人農民の墓だとトランプ氏が誤った説明をした白い十字架の列も映っていた。ウィッツ・スクール・オブ・ガバナンスのアナリスト、セレラ・ンセタネビカ氏は、この映像がラマポーザ氏を明らかに動揺させたと指摘。
「会談の前半、ラマポーザ大統領は用意周到で、政治家らしく落ち着き、外交的だった。しかし、動画が再生されると、彼の身振りや表情、態度が変化し、不安になったのが明らかに見て取れた」として、ラマポーザ氏はトランプ氏の偽情報を反証するデータを提示すべきだったと述べた。(c)AFP