【5月21日 AFP】米シンクタンクのグローバル・フォレスト・ウォッチは21日に公表した報告書で、昨年、気候変動に起因する火災などの影響で、世界全体で6万7000平方キロの一次熱帯林が失われたと明らかにした。これはベルギーや台湾の面積の約2倍に相当し、1分あたりサッカー場18面分の森林が消失した計算になるという。

報告によれば、消失面積は前年より80%増加した。

共同ディレクターのエリザベス・ゴールドマン氏は記者説明会で、「このレベルの森林破壊は、20年以上にわたるデータ収集の中でも前例がない」と指摘し、「世界的な緊急事態だ」と訴えた。

消失面積のおよそ半分は火災によるもので、農業による森林破壊を上回り、初めて最大の要因となった。

また、昨年1年間で森林伐採や意図的・偶発的な火災により、30億トン超の二酸化炭素(CO2)が排出された。これは、同期間にインドが化石燃料の使用によって排出した量を上回るという。

さらに報告書では、昨年の世界の平均気温が、化石燃料の大量燃焼に伴う気候変動と自然現象であるエルニーニョの影響により、産業革命以前と比べて1.5度以上上昇し、観測史上もっとも暑い年となったと説明。こうした「極端な条件」が、前例のない規模の森林火災を引き起こしたと分析している。(c)AFP