【5月21日 AFP】米食品医薬品局(FDA)は20日、新型コロナウイルスワクチンの追加接種を65歳以上、または深刻な基礎疾患がある人に制限する方針を示した。65歳未満で基礎疾患のない個人に関しては、ワクチンを製造する製薬会社に新たな臨床試験の実施を義務付けるとしている。

FDAのマーティン・マカリー局長とビナヤク・プラサド氏は、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌への寄稿で、この政策転換は「エビデンスに基づいた」ものと位置付け、米国を欧州の指針に近づけると主張している。

米国ではワクチン懐疑論者のロバート・F・ケネディ・ジュニア厚生長官が、連邦公衆衛生政策の改革を推進している。

ケネディ氏は以前、予防接種プログラムを批判する非営利団体を率い、新型コロナの感染拡大時期には、頻度としてはまれだが、ワクチン接種後に心筋炎や心膜炎などを発症することを理由に、新型コロナワクチンの承認を取り消すようFDAに要請していた。

マカリー・プラサド両氏は、初期の新型コロナワクチン接種は「科学・医学・規制上の成果」だと称賛する一方、低リスクの個人へのワクチン追加接種の利点は不確実だと主張。

年齢や健康状態に関係なく、すべての成人に追加接種を推奨した米国の手法は、国民の信頼を築くどころか裏目に出て、麻疹(はしか)など、子ども向けの予防接種に対するワクチン懐疑論を助長したとしている。

FDAは、65歳以上、または生後6か月以上で基礎疾患が少なくとも一つある場合の追加接種については、臨床試験を基に承認。生後6か月から64歳までの健康な個人への接種に関しては、無作為化臨床試験のデータを要求するとしている。

FDAは一方で、新たな枠組みの下で追加接種を受けられなくなるかもしれないとの懸念を払拭(ふっしょく)するため、疾病対策センター(CDC)のリスク要因の定義は「広範囲で、肥満や、うつ病などの精神疾患も含まれる」として、1億人から2億人の米国民が依然として追加接種の資格を得られる可能性があると指摘している。(c)AFP