米国の前駐ウクライナ大使、辞任理由はトランプ政権の対ロ「宥和政策」
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【5月17日 AFP】米国のブリジット・ブリンク前駐ウクライナ大使は16日、先月辞任した理由は、ロシアがウクライナに仕掛けた戦争において、ドナルド・トランプ大統領が対ロシア「宥和(ゆうわ)政策」を取っているためだと説明した。
ブリンク氏は地方紙デトロイト・フリー・プレスへの寄稿で、「国が侵略され、民主主義国家が爆撃され、子どもたちが殺されるのを、黙って見ていることはできない」と訴えた。
「米国の利益を守る唯一の方法は、民主主義国家のために立ち上がり、独裁者に対抗することだと信じている。どんな犠牲を払いながらでも得る平和は、平和ではなく、宥和政策だ」と主張した。
国務省は4月、民主党のジョー・バイデン前大統領によって任命されたブリンク氏の辞任を発表した。
ブリンク氏は、ロシアがウクライナ侵攻を開始し、米国主導の西側諸国による大規模なウクライナへの武器供与・支援計画が始まってから3か月後の2022年5月、戦時下のキーウに駐ウクライナ大使として着任した。
トランプ氏は再任以来、バイデン氏のウクライナ政策を覆し、軍事支援を削減してロシアに接近。戦争継続の責任はロシアのウラジーミル・プーチン大統領ではなく、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領にあるとたびたび主張してきた。
トランプ氏が両国に和平合意を迫る中、ウクライナとロシアの代表団による協議は16日にトルコ・イスタンブールで終了したが、大きな進展はほとんど期待できない。
ブリンク氏は、5人の大統領の下で外交官を務め、ホワイトハウスの政策を遂行することが自身の任務であることに同意したと記した上で、「残念ながら、トランプ政権発足以来の政策は、侵略国であるロシアではなく、被侵略国であるウクライナに圧力をかけることにある」と指摘。
「そのため、もはやトランプ政権の政策を誠実に遂行することができず、辞任することが私の義務であると感じた。30年近く祖国に奉仕し、私は駐ウクライナ大使を辞任した」と続けている。(c)AFP