ガザ最後のがん病院、機能停止 WHO
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【5月16日 AFP】世界保健機関(WHO)は15日、パレスチナ自治区ガザ地区で、がんと心臓病の治療を提供していた最後の病院がイスラエルの攻撃を受け、機能を停止したと発表した。
同病院はこの2か月で2度目の攻撃を受けた。
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、13日の攻撃により、ガザ南部ハンユニスのヨーロッパ病院が「深刻な被害を受け、アクセス不能になった」「もはや機能していない」と、X(旧ツイッター)に投稿した。WHOのチームが、緊急医療スタッフをナセル医療複合施設に避難させたという。
テドロス氏はさらに「病院の閉鎖により、神経外科、心臓治療、がん治療などの重要なサービスが途絶えた。ガザの他の場所には、こうしたサービスはない」と報告。すでに逼迫(ひっぱく)しているガザの医療体制にさらに負担がかかると懸念している。
国境なき医師団(MSF)もXへの投稿で、「ガザの壊滅的な医療システムに残された最後の生命線の一つ」だった同病院の閉鎖を憂慮し、ガザ南部で唯一機能しているナセル医療複合施設も、数時間前に攻撃を受けたと報告した。
ガザに残っている病院は「ほとんどが部分的にしか機能しておらず、常に過負荷状態にある」とし、「医療施設への繰り返しの攻撃は、イスラエル当局がガザ地区を住めない場所にしているさらなる例だ」と非難した。
テドロス氏は「病院は保護されなければならない」と強調。「病院は決して軍事化されたり、標的にされたりしてはならない。停戦を」と強く訴えた。(c)AFP