【5月16日 CNS】同じ川の水を飲む。

 長大な瀾滄江(Lancang River)は、中国の境内から流れ、カンボジアに至ると、豊かな水資源がメコン川平原に生命力あふれるエコロジーの景観を育んでいる。

 中国とカンボジアは地理的に近接しており、友好関係は約2000年前に遡ることができる。カンボジアの最初の高速道路、最初の山脊を越える高架橋、最初の大規模な発電所、最大の体育館など、インフラプロジェクトの多くは中国の支援によるものだ。
 
 4月17日、中国・カンボジア両国は30を超える二国間協力文書を交換し、産業供給チェーン協力、人工知能(AI)、開発援助、税関検査、衛生、メディアなどの分野を含んでいる。
 中国はカンボジアの建設を支援し、その長期的な発展に力強い支えを提供している。さらに、一連の二国間協力協定の署名は、両国の伝統的な友情を新たなステップへと導いている。

■制度的な協力が中国・カンボジア経済貿易の質と量を向上させる

 第5回中国国際消費品博覧会では、カンボジアからの胡椒製品が軽く砕かれ、その香りが多くの人びとを引き寄せた。

 この光景は、カンボジアの農産物が中国市場を加速的に開拓している積極的な動向を映し出している。第一四半期において、中国はカンボジアから農産物を98億元(約1998億6316万円)分輸入し、前年比12.2%の増加を見せ、その輸入総額の25.9%を占めた。この比率は1.7ポイントの上昇を記録した。

 近年、中国・カンボジア自由貿易協定の効果を受けて、バナナ、マンゴー、龍眼(リュウガン)、胡椒、米など、カンボジアの高品質な農産物が中国の家庭に届いている。例えば、2024年にはカンボジアの米輸出量は65.15万トンで、そのうち近12万トンが中国に輸出された。

 農産物貿易の活況は、両国の経済貿易協力が深化し続けていることの縮図に過ぎない。中国は13年連続でカンボジアの最大貿易相手国となり、また最大の外国直接投資の源でもある。2024年の両国間貿易額は178.3億米ドル(約2兆6211億円)に達し、前年比20.7%の増加を見せた。

 こうした背景には、一連の制度的な取り組みの継続的な後押しがある。2020年、中国とカンボジアは正式に自由貿易協定に署名し、2022年に正式発効した。2023年には、政治、生産能力、農業、エネルギー、安全保障、人文という6分野における「ダイヤモンド六角形」協力枠組みに合意し、両国の各分野における協力を推進している。

■産業チェーンと供給チェーンの協力深化が集積効果を生む

 ますます多くの中国企業がカンボジアに生産拠点を設け、産業・供給チェーンの垂直統合を深化させている。

 今年1〜2月の間に、カンボジア開発評議会(CDC)は112件の投資プロジェクトを承認し、契約ベースの投資総額は10億米ドル(約1470億円)を超え、そのうち中国からの投資が約80%を占めた。

 カンボジアは世界第6位の天然ゴム生産国である。年初、中国のタイヤメーカー・賽輪集団(Sailun)は、既存の投資をもとに、カンボジアにおいて全鋼ラジアルタイヤプロジェクトの拡張に9348万米ドル(約137億4249万円)を投じる計画を立てている。

 この動向はさまざまなデータにも反映されている。2024年、中国企業のカンボジア登録件数は2921社に達し、前年比20.65%増となった。中国企業は、衣料や靴などの伝統的産業に注力するだけでなく、電子機器の組み立てや家具製造などの新分野への投資も進めている。

■発展戦略の連携が実務的協力の質を向上させる

 両国の発展戦略の連携により、中カンボジアの実務協力はさらに加速し、質と効率がともに高まっている。2022年10月には、中国企業が建設したプノンペンからシアヌークビル港までの高速道路が正式開通し、カンボジアの人々の高速道路の夢を実現させた。

 電力分野では、2024年末までに中国資本の企業がカンボジアで建設・稼働させた水力発電所10か所、火力発電所2か所の設備容量は、全国の総設備容量の60%以上を占め、カンボジアの人々の電力需要に効果的に応えている。

 このようなウィンウィンの協力は、二国間の資源要素の深い融合にも表れている。

 カンボジア南西沿海部にあるシアヌークビル港経済特区は、中カンボジアの実務協力の模範とされている。「一帯一路(Belt and Road)」構想の象徴的プロジェクトとして、十数年にわたる中カンボジアの共同努力によって、この地域は荒れ地から、200以上の国際企業・機関を誘致し、3万2000人の雇用を創出するまでに発展した。

「一帯一路」構想とカンボジアの「五角戦略」の継続的な連携、「ダイヤモンド六角形」協力枠組みの充実、「産業発展回廊」と「魚と米の回廊」の建設推進により、中カンボジアの実務協力は新時代においてさらに輝きを増している。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News