【5月15日 AFP】米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は14日、不法移民向けの無料医療制度を廃止する案を発表した。ドナルド・トランプ大統領の関税政策で州の財政が打撃を受けたことが理由の一つと説明している。

2028年の大統領選への出馬が取り沙汰されるニューサム氏にとって、今回の発表は、保守層からの批判を和らげ、放漫財政と移民に寛容なリベラル派というイメージからの脱却を図る狙いもあるとみられている。

ニューサム氏は記者会見で、来年から州の低所得者向け公的医療保険制度「Medi-Cal」への不法移民の新規加入を凍結し、既存の加入者には月額100ドル(約1万5000円)の負担を求める方針を明らかにした。

「加入者を削減、排除するのではなく、特に不法移民に関しては加入に上限を設ける」と述べ、Medi-Calの加入者約1500万人のうち、11%近くが不法移民だと説明した。

ニューサム氏側は、Medi-Calの適用資格の制限や薬の供給制限などを通じて、今後数年間で約54億ドル(約7900億円)の歳出削減につながると見込んでおり、約120億ドル(約1兆7500億円)の財政赤字を解消する一助としたい考えを示している。

同氏は、国際貿易や観光に大きく依存するカリフォルニア州の経済が、トランプ氏の気まぐれな関税政策によって打撃を受けていると強調した。カリフォルニア州は、米国、中国、ドイツに次ぐ、世界第4位の経済規模を誇る。(c)AFP