江蘇塩城:渡り鳥と共に訪れ、文化を持ち帰る場所・中国
このニュースをシェア
【5月21日 Peopleʼs Daily】江蘇省(Jiangsu)塩城市(Yancheng)には世界最大級の潮間帯干潟(ひがた)があり、中国初の「海岸湿地類世界自然遺産」に指定されている。
当地は「東アジア - オーストラレーシア (Australasia、オーストラリア・ニュージーランドとその周辺諸島)大陸間の渡り鳥」の移動ルート上の重要な拠点であり、世界中から数百万羽の渡り鳥が休息、換羽(かんう)、越冬する場所になっている。
干潟湿地で数万羽の鳥の群れを観察し、市内では博物館やバラエティショップを巡り、ヘラシギをモデルにしたキャラクターグッズ「塩小勺(Yanxiaoshao)」などを買って帰る。
近年、塩城は渡り鳥を軸にして多様な観光シーンを創出、文化観光業を振興し、消費の新たな魅力を打ち出している。渡り鳥ウオッチング観光は、生態観光発展の「新戦略」となり、観光客や市民に豊かで奥深い体験を提供している。
「渡り鳥は南へ向かって飛び、生息地を選ぶ際の最重要ポイントは、食料源と生態環境となる」、条子泥湿地(Tiaozini Wetlands)景観区に設置された研修館で、ツアーガイドの沈丹丹(Sheng Dandan)さんは、渡り鳥の移動理由や場所の選択について説明し、動画と写真を用いて冬季の湿地に生息する鳥類を紹介した。
研修ツアーの参加者は、研修館で鳥類の基本知識を学んだ後、海堤路近くの渡り鳥ウオッチング・プラットフォームへ移動し、渡り鳥ウオッチングツアーが始まった。
沈さんは参加者に向かって「潮が満ちてきた!今が絶好のバードウオッチングタイムだ。渡り鳥は、引き潮の時間帯は海岸に散らばって餌探しをするが、潮が満ちてくると堤防の内側の「鳥の宿舎エリア」に戻って休息する。この瞬間が、鳥が最も集まる時間帯で、プラットフォームからの観察に最適だ」と呼びかけた。
沈さんが「宿舎エリア」と呼ぶ場所は、東台市(Dongtai)が渡り鳥の餌場から最も近い干拓養殖区に設けた720ムー(約48ヘクタール)の魚塘(養殖池)だ。多少の地形改造、湿地修復、環境整備を経て、干潟の高潮位帯をすみかとする渡り鳥の生息地に整備され、潮が満ちる際に鳥たちが休息できる場所を提供している。
四つのバードウオッチングプラットフォームには、合計16台の望遠鏡が設置されている。 目を凝らすと、500メートル先までの景色がくっきりと見え、研修館の動画で見た鳥類——雁、野鴨、クロツラヘラサギ、ヘラサギなどが、のんびりと歩き回っている。
車で南へ12キロ進むと、条子泥湿地の奥にある湖沼地帯「万畝湖泊(Wanmu Hupo)」に到着する。ここは丹頂鶴やフラミンゴなど大型水鳥の生息地だ。数十人の写真愛好家が渡り鳥の撮影に励んでいた。
写真撮影イベントの主催者で塩城市写真家協会の戚暁雲会長は「数時間待って、フラミンゴがヒナに餌を与える瞬間を撮影できた。本当に来た甲斐があった」と嬉しそうに話した。撮影イベントは毎回満員で、春はヘラシギの撮影、夏はズグロカモメの繁殖期、秋はヨモギが赤く染まる季節、そしてこの冬は撮影できたフラミンゴの数が以前より多くなっているという。
東台市沿海経済区管理委員会の常維(Chang Wei)副主任は「湿地は四季折々の景色に特色があり、条子泥景観区はバードウオッチングを軸に、季節ごとに写真撮影、スポーツ、研修旅行などの生態観光商品を企画している。バードウオッチング大会、写真撮影研修キャンプ、生態キャンプなどの旅行ブランドを確立し、年間延べ100万人近い観光客を受け入れている」と説明した。
文化施設もバードウオッチング観光の重要な要素となっている。「黄海湿地博物館」は渡り鳥に焦点を当て、渡り鳥の生息地の変遷を展示し、博物館をあたかも「立体的な湿地生態百科事典」のように整備し、趣向豊かなインタラクティブ体験や没入型体験を充実させ続けている。
同館は毎年延べ26万人の観光客の受け入れをベースとして、さらに「世界遺産教育」「湿地と科学の手工房」など複数のブランドイベントを企画し、年間140回の世界遺産教育活動を実施している。
頭部に2本の羽毛があり口がスプーンのような形をしたヘラシギをモデルにした「塩小勺」は、塩城市が発表したご当地IPキャラクターだ。ゆるかわいいアニメ風デザインは、Tシャツ、カップ、ノート、冷蔵庫マグネットなどにプリントされ、またぬいぐるみも作られ、観光客に人気を博している。
関係者によると、デザインチームは現在、丹頂鶴とヘラジカのIPキャラクターの製作を進めており、「湿地三宝」がそれぞれ異なる魅力で消費者の心を捉えることを目指している。
「バードウオッチングツアーがクリエイティブカルチャーブームを牽引し、ブームが消費を促進した。湿地生態関連グッズの総売上額は全市で3000万元(約5億9010万円)を超え、まさに数千万元規模の付加価値を生み出している」、塩城市委員会宣伝部文化産業処の金竜飛(Jin Longfei)処長は湿地観光の経済効果をこのように説明した。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews