【5月15日 AFP】米国から両親が強制送還され、自身は里親に預けられていたベネズエラの2歳の女児が14日、本国に戻され、母親との再会を果たした。同国では、幼児を両親から引き離す行為は「誘拐」だと強い反発が起きていたが、ニコラス・マドゥロ大統領は「人道的」な措置だとして、トランプ米政権に珍しく謝意を表した。

「ようこそ、マイケリス」─。国営テレビは、226人のベネズエラ移民を乗せた強制送還便で到着したマイケリス・アントネジャ・エスピノサ・ベルナルちゃんを抱きかかえた大統領夫人のシリア・フローレスさんが、こう呼びかけたと伝えた。

母親のヨレリス・ベルナルさんは空港には出向かなかったが、大統領宮殿で娘と再会した。

マドゥロ大統領は「トランプ政権とはこれまで立場の違いがあり、これからもあるだろう」としながら、マイケリスちゃんを返してくれたことは「深く人道的な正義の行為」だとたたえた。

母親のベルナルさんは、2024年5月に米国に不法入国した後、当局に自首した際、自身と夫はマイケリスちゃんと引き離されたと話している。

米国土安全保障省はマイケリスちゃんを里親に預けた理由について、両親はベネズエラの犯罪組織「トレン・デ・アラグア」のメンバーであり、保護する必要があったためとしている。

ベネズエラ当局によると、父親はエルサルバドルの悪名高い「テロリスト拘禁センター(CECOT)」に移送されている。

映像はベネズエラの国営テレビVTVの放送内容の一部。(c)AFP/Barbara AGELVIS