【5月14日 AFP】五輪で5個の金メダルを獲得し、ツール・ド・フランスでも総合優勝を果たした英自転車競技界のレジェンド、ブラッドリー・ウィギンス氏(45)が、引退後にコカイン中毒に陥っていたことを明かし、「今ここにいられるのは幸運だ」と語った。

2012年にツール・ド・フランスを制覇したウィギンス氏は、2016年の引退後、ドラッグの問題が命に関わることを恐れた子どもたちから、リハビリ施設への入所を懇願されたことを告白した。

日曜紙オブザーバーで「朝になったら私が死んでいるのではないかと、息子が思ったことが何度もあった」と語り、「普通の生活を送れていたので、誰も気づかなかったが、私は中毒だった。何年もの間、ほとんどずっとハイだった」と明かした。

「綱渡りのような状態で、大きな問題を抱えていることに気づいた。やめなければならなかった。今ここにいられるのは、本当に幸運だ」

「私は長年、自分自身の選択にずっと苦しめられてきた。もともと強かった自己嫌悪が、さらに増幅されていた。中毒は一種の自傷行為、自己破壊だった。自分がなりたい人間にはなれていなかったし、多くの人たちを傷つけていることにも気づいた」

ウィギンス氏は引退後、父親からの嫉妬や、子どもの頃にコーチから受けたグルーミング行為についても明かしている。昨年には破産を宣言。同氏は「中毒はその痛みを和らげるための手段だった」とも述べている。

現在は中毒を克服し、1年以上が経過。セラピーも継続しており、「以前よりも、自分自身と落ち着いて向き合えるようになった」と話している。(c)AFP