【5月14日 AFP】米ホワイトハウスは13日、ドナルド・トランプ政権が難民認定した南アフリカの白人「アフリカーナー(オランダ系を中心とする南ア生まれの白人)」の再定住をめぐり、連邦政府の指示に従わなかったキリスト教の一派で聖公会の一つ、米国聖公会の人道的取り組みに疑問を呈した。

反移民政策を掲げるトランプ氏は就任後、難民の受け入れを事実上停止したが、アフリカーナーについては例外とした。南ア政府は、アフリカーナーは同国で迫害を受けていないと主張している。

12日には、アフリカーナー約50人が第1陣として、再定住のため米国に到着した。トランプ氏は彼らを「ジェノサイド(集団殺害)」の被害者と呼び、難民と認定した。

南アで白人が迫害されているとの主張は、トランプ氏の盟友で南ア・プレトリア出身の億万長者イーロン・マスク氏が繰り返しているが、南ア政府が否定するなど、不合理なものとして広く否定されている。

米国聖公会は12日、南ア白人の再定住を支援する命令に従わず、連邦政府との難民再定住プログラムを終了すると発表した。

ホワイトハウスのアンナ・ケリー副報道官は声明で、米国聖公会の決定は「(聖公会の)人道支援への取り組みとされている方針に重大な疑問を生じさせる」と批判。アフリカーナーは「言葉にできない恐怖に直面してきた」と主張した。

アフリカーナーは、主に植民地を支配してきた欧州からの白人入植者の子孫で構成され、南アで多数派の黒人から政治的・経済的権利を剥奪する残忍な人種隔離政策「アパルトヘイト」が1994年に廃止されるまで、同国の政治を支配していた。

米国聖公会のショーン・W・ロウ総裁主教は声明で、南ア白人を難民認定したトランプ政権の決定を厳しく批判。

「極めて異例な方法で選ばれた特定の難民グループが、難民キャンプや危険な状況で何年も(難民認定を)待っている多くの他の人々よりも優遇されるのを見るのは痛ましい」と述べた。

米国大使館が公表した資格基準によると、米国への再定住を申請するには、アフリカーナーか、南アの人種的少数派に属している必要がある。

米国聖公会は、「われわれの人種的正義と和解への揺るぎない取り組みの観点から」トランプ氏の命令には従えないと主張。

連邦政府との難民再定住プログラムは年度末までに終了するが、世界中から最近到着した難民の支援を含め、難民の再定住に関する活動は継続すると表明した。(c)AFP