氷河消失に警鐘鳴らす式典 ネパール
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【5月13日 AFP】ネパール北部のランタン渓谷にあるヤラ氷河で12日、世界的に進行する氷河の後退に注意を促すための式典が行われた。
世界各地で気候変動の影響により氷河が急速に縮小しており、海抜5170〜5750メートルに位置するヤラ氷河もその例外ではない。
国際山岳総合開発センター(ICIMOD)によれば、ヤラ氷河は1974年以降に表面積が66%減少し、784メートル後退した。
科学者らは、温暖化がこのまま進めば、ヤラ氷河は2040年代までに完全に消滅し、ネパールで初めて「死」を宣言される氷河になる可能性があると警告している。
ICIMODの氷圏専門家、シャラド・プラサド・ジョシ氏はAFPの取材に対し、「この氷河が40年で半分になっていくのを自分の目で見てきた。次の世代はもう見られないかもしれないことを懸念している」と語った。
式典では、ヒマラヤ山脈を背に仏教僧らがヤラ氷河のための儀式を執り行い、祈りの旗が風にはためいた。
また、ネパール語、英語、チベット語で追悼の言葉が刻まれた2枚の銘板も設置された。
そのうちの1枚には、次のような言葉が記されていた:「この碑は、私たちが今何が起きていて、何をすべきかを理解しているという証です。私たちが本当にそれを成し遂げたのかどうかを知るのは、あなただけです」
この言葉は、アイスランドの作家アンドリ・スナエル・マグナソン氏によるもので、世界で初めて氷河の「葬儀」が行われたアイスランドでも同じメッセージが掲げられている。氷河葬はこれまでにメキシコ、米国、スイスでも行われている。(c)AFP