【5月13日 東方新報】中国自動車流通協会乗用車市場情報聯席分会(乗聯分会)は5月11日、2025年4月の全国乗用車市場分析を発表した。

 それによると、4月の全国乗用車小売台数は175.5万台で、前年同月比14.5%増となった一方、前月比では9.4%の減少となった。年初からの累計小売台数は687.2万台で、前年同期比7.9%の伸びを示しており、これまで国内市場が示してきた「前半低調・後半回復」というパターンと比較しても、今年の4月は2018年4月の181万台にわずかに届かないながらも、過去の同月水準としては非常に高い位置にある。

 この4月、乗用車市場にはいくつかの注目すべき動きがあった。まず、メーカー出荷台数および生産台数の双方が、4月としては過去最高を記録した。また、1〜3月の国内小売販売が前年同期比6%のプラスだったのに対し、4月単月では14.5%増とさらなる加速を見せた。これにより1〜4月の累計増加率は7.9%となり、年間の好調なスタートを印象づけた。

 販売面においては、表立った価格競争は例年よりも穏やかだったが、装備のアップグレードやユーザー特典の変更といった形での「見えにくい値引き」が頻繁に行われた。値下げされたモデルは14車種にとどまり、前年4月の41車種、2023年の19車種と比較しても明らかに減少しており、全体的に価格競争が一服した印象を与えている。ガソリン車の平均的なプロモーション(販促)率は22.2%で、これは10か月連続でおよそ22%の水準に落ち着いている。

 ブランド別では、自主ブランドの乗用車が全体の出荷台数の70.3%、国内小売の65.5%を占め、いずれも前年比で約8ポイントの伸びを記録した。在庫については、1〜4月の間にメーカー側が8万台、販売チャネル側が4万台の在庫を増やし、合計で12万台の在庫増加となった。これは前年同期の41万台の在庫減少とは対照的であり、市場供給体制が安定していることを示している。

 新エネルギー車の普及も順調で、国内小売市場における新エネ車のシェアは51.5%にまで回復した。これは、廃車支援や買い替え促進、購入税免除といった国の優遇政策が底支えとなっているためである。また、自主ブランドのガソリン車の輸出は前年同期比13%減の83万台となったが、新エネルギー車の輸出は48万台と86%の大幅増となり、輸出全体の37%を占めた。年初にはロシア市場で在庫処分の動きがあったため一時的に輸出が減少したが、4月以降は徐々に安定を取り戻しつつあり、中国車のロシアでのシェアは依然として55%以上を維持している。

 さらに注目すべきは、買い替え需要が市場を大きく牽引していることだ。4月24日までに全国で270.5万件の「旧車から新車への買い替え申請」が行われ、これは3月24日時点の150万件から120万件も増加している。3月の個人向け乗用車販売台数が約172万台だったことを踏まえると、4月の新車購入者の約70%が買い替え制度を活用していたことになり、初回購入者は全体の31%程度にとどまった。今や消費の主流は明らかに「買い替え」や「グレードアップ購入」へとシフトしている。

 新エネルギー車に関しては、4月の乗用車生産台数が115.1万台で前年同月比40.3%増、前月比では1.5%の減少となった。1〜4月の累計生産台数は407.8万台で44.5%の増加。4月の小売台数は90.5万台で、前年同月比33.9%増、前月比8.7%減だったが、1〜4月累計では332.4万台、35.7%増という力強い成長を見せている。

 5月の市場について、乗聯分会は慎重ながらも前向きな見通しを示している。2025年5月は稼働日数が19日と前年より2日少なく、また端午節が月末に控えているため、販売活動にはやや不利な構造となる。しかし、前年の5月が政策効果で回復基調だったため、比較ベースとしてはやや高めに設定される見込みだ。

 一方で、国や地方自治体の消費促進策が引き続き実施され、各地でのモーターショーや実店舗での販売イベントが集客を後押しする。上海車展では新車発表は控えめだったが、自主系の新興ブランドは中・高価格帯モデルを中心に発表され、合弁ブランドは新エネルギー車の値頃感を前面に出して市場を刺激している。これらの要素を受けて、5月の乗用車市場は比較的安定した成長が予想される。

 ただし、世界的な政治経済情勢の急変や予想外の関税引き上げといった外部要因が消費心理に影を落とす可能性も否定できない。とはいえ、中国政府はすでに内需拡大を成長戦略の柱に据えており、「内需と外需の両輪」で市場を推進する方向性はより一層明確になっている。特に、海外市場でも比較的緩やかな政策環境にある国や地域への輸出は、今後の成長ドライバーとして重要な役割を果たすだろう。(c)東方新報/AFPBB News