【5月13日 AFP】米国の左派系政治評論家でインフルエンサーの男性が12日、前日にシカゴ・オヘア国際空港で当局者に2時間以上拘束され、自身の政治姿勢について尋問されたと明らかにした。

ニュージャージー州生まれのトルコ系米国人ハッサン・パイカー氏(33)は、ユーチューブ、X(旧ツイッター)などで数百万人のフォロワーを抱え、イスラエル批判を公然と行ってきた。

米国民や合法的な居住者が進歩主義的な意見を表明しただけで連邦職員から懲罰的な措置を取られたとする主張をめぐり、ドナルド・トランプ政権に対する批判が強まる中、パイカー氏は自身のユーチューブアカウントへの動画で率直に発言。

空港での職員とのやり取りはおおむね友好的だったと振り返りながら、職員の一人に、米国がテロ組織に指定しているイスラム組織ハマスやレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラと接触したことがあるか、さらにトランプ大統領についての考えを聞かせてほしいと言われたとしている。

パイカー氏は、「そこで初めて『これはどういう質問か』と答えた」と説明。「『なぜそんな質問を。どういう関係があるのか』とストレートに答えた」とし、「トランプのことは好きではない。それでどうするつもりなのか。これ(言論の自由)は合衆国憲法修正第1条で保障されている」と伝えたという。

過去にバーニー・サンダース上院議員らを自身のプラットフォームに招いたことのあるパイカー氏は、自分のオンラインコンテンツは一度も法律に違反したことはなく、言論内容も憲法で保障されている範囲を逸脱していないと主張。

「彼らがあんなことをするのは、私のような人や、少なくとも私と同じような立場で、同じように安全が守られていない人々の口を恐怖によってふさごうとするためだと思う」と付け加えている。

国土安全保障省の職員は12日、米メディアに対し、パイカー氏が2次保安検査の対象となったのは政治信条のためだとの見方を否定。

「この人物が入国時に追加保安検査に回されたのは、よくある、合法的な手続きであり、旅行客は誰でも対象になり得る。検査完了後、速やかに解放された」と説明した。

人権団体「ディフェンディング・ライツ・アンド・ディセント」は、「このような権力の乱用は言論の自由をおとしめる行為だ」と非難している。(c)AFP