【5月10日 AFP】インドネシア・西ジャワ州で今月、授業をサボったり、テレビゲームをやり過ぎたりするなど、素行の悪い児童・生徒を軍の新兵訓練施設に送る試験的なプロジェクトが始まった。ナタリウス・ピガイ人権相は9日、プロジェクトが成功すれば、全国展開が可能になると述べた。

現地メディアによると、西ジャワ州ではデディ・ムリヤディ知事が今月、同プロジェクトを開始して以来、これまでに問題児と見なされた10代の児童・生徒270人以上が新兵訓練施設に送られた。

ピガイ人権相はこのプロジェクトを称賛。全国展開への支持を表明している。

同氏は9日、AFPの取材に応じ、全国展開への支持を改めて表明。「人権の観点から成功すれば、つまり教育が適切かつ正しく行われ、精神力、技能、規律、責任感が著しく向上すれば、全国展開が可能になる」と述べた。

ムリヤディ知事は8日、多くの児童・生徒が夜更かししてテレビゲームをしたり、学校をサボったり、口論に巻き込まれたりしていると指摘し、このプログラムは州内の児童・生徒の生活様式の変化を促すことを目的としていると述べた。

軍が関与しているのは、人格形成の経験があるからだと説明し、児童・生徒は兵舎に滞在しながら教育を受けていると付け加えた。

プログラムは西ジャワ州全体で段階的に導入されるが、新兵訓練施設に送られるのは保護者の同意を得た児童・生徒のみだという。

インドネシアの人権団体「行方不明者および暴力被害者のための委員会」の副コーディネーターを務めるアンドリー・ユヌス氏は、新兵訓練施設は教育施設ではないとして、このプログラムを「誤った政策」だと批判。

「児童・生徒を新兵訓練施設に送るのは懲罰のためだ。これは明らかに間違っている。児童に対する刑法上の手続きに基づいていないからだ」「このプログラムに効果があるのか疑問だ」とAFPに語った。

さらに、このプログラムは民間人、特に学生への「『軍国主義的』な侵略」の一種だと訴えた。(c)AFP