【5月11日 Peopleʼs Daily】中国の「両会(全国人民代表大会と中国政治協商会議全国委員会会議)」では「改革」という言葉が頻繁に登場する。「改革」に主導的な役割を与え、その強力な原動力を解き放つにはどうすればよいのだろうか?

 それには「提案」から始めるのが良いのではないだろうか。

 取材する中で「ハードテクノロジーは、ベンチャーキャピタルの参加を悠長に待っていられない(大きな資金が必要で、投資回収にも時間が掛かり、ベンチャー企業にとっては荷が重く、ベンチャーキャピタルファンドなどの公的な支援が必要だ)」という声を何度も耳にした。 

 これについて中国人民政治協商会議全国委員会の張橋(Zhang Qiao)委員は、昨年の「両会」で関連する「提案」を行っている。

 先日、江蘇省(Jiangsu)蘇州市(Suzhou)の人工知能テクノロジー企業が、ビッグモデルによる人間と機械の対話技術の革新的な研究開発のため5億元(約97億2500万円)の資金調達に成功した。これを聞いた張橋氏は「イノベーションキャピタルファンドは、技術系企業の発展を促進することができると確信する」と安堵の声を発した。

「提案」の提出から300日あまりで、関連部門から肯定的な返答が得られ、政府の『政府系ファンドの質の高い発展促進に関する指導意見』の中に「長期にわたる忍耐強い資本の開発と拡大」という条項が盛り込まれ、「ベンチャーキャピタルファンド」が、早期投資、中小企業への投資、長期投資、ハードテクノロジーへの投資をサポートできるようになった。

 民間経済促進に関する法律の立法プロセスが加速され、民間企業から苦情の的になっている「ガラスのドア(目に見えないが隠然と存在する障壁)」「回転ドア(官民の癒着などで民営企業に不公平な処遇)」「バネのドア(制度の不安定などで一時的に参入しても継続が困難になるような危険性)」などの参入障壁を取り除き、企業に対する行政執行を標準化し透明性と一貫性を高める「特別是正行動」を展開する。

「改革」によって体制の足かせが取り払われ、イノベーションが花開くようになった。

 高品質な発展が新たな課題を提示し、深化した「改革」がそれに対する答えとなる。

 例えば、テスラの上海スーパー蓄電工場は、着工からわずか9か月で稼働を始めることができた。これは「集中的な審査批准」「アラカルト式の行政サービス」「時差ゼロの即応メカニズム」など、果敢に開拓し積極的に先手を打って取り組むという「上海スピード」が絶えず刷新されている。

 洋浦港(Yangpu Port)では、海南省(Hainan)初の1000億元(約1兆9450億円)規模の「先進製造業クラスター」が誕生した。初の「海外大学単独運営プロジェクト」、初の「ゼロ関税での自己使用生産設備の輸入許可」など、解放思想と大胆なイノベーションによって「海南自由貿易港」は開放的な「新たな窓口」へと変貌を遂げた。

 今年は中国の第14次5か年計画の最終年であり、改革を全面的に深化させるための重要な年でもある。

 プラットフォーム経済の健全な発展を促進し、地方の自主的財源を増やし、中長期資本の市場導入を阻む障壁を取り除くなど、中国は改革に向かって行動力を発揮し、象徴的な改革措置を推進し、成果を達成し、改革を通じて活力と結束力を発揚する。

 企業の「感覚」に焦点を当て、ビジネス環境を最適化することから、科学技術成果の活用を探求し、科学者の活力を刺激することまで、また、外資参入を制約する「ネガティブリスト」を徐々に緩和し、ハイスタンダードな規則を世界トップクラスのスタンダートと合致させることまで、障壁を打破し、障害を取り除き、サービスを改善することで、「改革」は活力を生み出し、中国の活気ある強力な発展エンジンに火をつけるだけでなく、中国式現代化のための新たな発展空間を常に拡大し続けている。

 モノの流れを阻む障害を取り除くため、まだどんな阻害要因を取り除く必要があるのか? 新たな発展の道筋や領域における制度上のギャップをどのように埋めるのか? 現代サービス業の開放をどのように拡大していくのか?

「両会」では、代表や委員たちが目標を着眼点とし、問題に焦点を当て、世論や民衆の知恵を集め「優れた提言」を発展のための「確かな政策と実行可能な対策」へと形にしていく。

 中国の質の高い発展は、人びとの心の声を聴き、洞察力を結集することで、今後も新たな展望を提示し続けると確信する。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews