【5月3日 AFP】英国のヘンリー王子は2日、BBCのインタビューで、王室との和解を望んでいるが、英国での警護レベル引き下げをめぐる控訴審で敗訴したことで、自身の子どもたちを連れて英国に戻ることはできないとし、「打ちのめされた」と心情を吐露した。

王子は、警護に関する問題と、王室を批判する回顧録の出版を受け、父のチャールズ国王とは、もはや話をしていないことを明かし、キア・スターマー首相に介入を要請。

「もちろん、私が本を書いたことを決して許さない家族もいるだろう。だが、私は和解を望んでいる」と話した。

王子は2020年に王室を離脱。妻メーガン妃と、間もなく6歳になる息子のアーチー王子と共に米国に移住した。

英政府は公務を行う王族とは見なさず、警護レベルの引き下げを通告したため、ヘンリー王子はこれを不服として2021年に内務省を提訴していたが、英国の高等法院は2024年に合法と判断。王子が上訴していた。

このたび、訴えが棄却されたことを受け、米カリフォルニア州からBBCの取材に応じた王子は、これ以上の法廷闘争は望んでいないとし、最高裁への上告を断念する考えを示した。

「人生は掛け替えのないものだ。父が、あとどれだけ生きられるか分からない。この警備問題で、父は私と話そうとしない」と語った。

2024年2月にがんと診断された76歳のチャールズ国王は今も毎週治療を受けており、4月に治療の副作用で一時入院したことを王子は報道で知ったと伝えられている。

王子は、自身の裁判の判決に「打ちのめされた」と話し、英国訪問中の警護引き上げがかなえられず、「私の家族を安全に英国に連れ帰ることは不可能だ」と続けた。

王子は、1997年に母のダイアナ元皇太子妃が仏パリでパパラッチの追跡をかわそうとして自動車事故で亡くなったことに長年苦しみ、この悲劇の責任はメディアにあると非難。メディアの激しい監視が王室を退いた一因でもあるとの考えを示してきた。

王子は「英国が恋しい」と認め、「私の子どもたちに故郷を見せることができないのはとても悲しい」と話している。(c)AFP