【5月2日 AFP】米電子機器大手アップルは1日、トランプ政権による関税措置の影響により、今年第1四半期に約9億ドル(約1300億円)のコスト増を見込んでいると発表した。利益は予想を上回ったものの、関税によってサプライチェーンに混乱が生じているという。

アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は決算説明会で、アップル製品は現在のところ最も厳しい報復関税の対象にはなっていないとしつつも、「今後、米国で販売されるiPhoneの大半はインド製になる可能性が高い」との見通しを示した。

また、「現時点ではどのような措置が講じられるか不透明なため、関税の影響を正確に見積もることは難しい」としながらも、「仮に現在の世界的な関税率や政策、適用状況が四半期の残りの期間中に変わらず、新たな関税も導入されなければ、関税によるコスト増は約9億ドルに達する見込みだ」と述べた。

米中間では、トランプ政権の高関税に端を発する報復関税合戦が続いているが、米国はスマートフォンや半導体、コンピューターなど、中国が主な供給元である電子機器については一時的に関税を猶予している。

ただし、スマートフォンの完成品は現時点で関税を免除されているものの、テクノロジーアナリストのロブ・エンダーレ氏は「アップル製品に使われるすべての部品が免除されているわけではない」と指摘。「部品が国境を越える回数が多いほど、最終製品のコストに反映される。最終的にはコスト上昇と混乱が避けられない」と述べた。

市場調査会社カナリスによると、米国向けに出荷されるiPhoneの大半はいまだに中国本土で生産されているが、四半期末に向けてインドでの生産が増加したという。

クック氏は、米国市場向けのタブレット端末「iPad」、パソコン「Mac」、腕時計型端末「Apple Watch」、イヤホン「AirPods」について、製造はほぼベトナムで行われていると述べた。

一方で、米国外で販売されるアップル製品の多くについては、引き続き中国が主要な製造拠点であることを強調した。

「すべてを一か所に集中させるのはリスクが大きすぎるということを、われわれはこれまでの経験から学んできた。そのため、時間をかけてサプライチェーンの一部を他国に分散させてきた。今後もその流れは続くだろう」と語った。(c)AFP