シリアのドルーズ派「国際介入」を要求 イスラエルが支援
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【5月2日 AFP】シリアのイスラム教ドルーズ派の指導者ヒクマト・ヒジリ師は1日、2日間で102人が死亡した宗派間衝突を受け、ドルーズ派に対する「ジェノサイド(集団殺害)的な攻撃」だと非難した。
この暴力は、昨年12月にバッシャール・アサド前大統領を追放したイスラム主義暫定政権にとって深刻な挑戦となっている。
ヒジリ師は声明で、首都ダマスカス近郊のジャラマナとサフナヤで起きたドルーズ派に対する直近の暴力は「正当化し得ないジェノサイド攻撃」だと非難。「これらの犯罪を止め、平和を維持するために国際部隊による即時介入」を求めた。
シリアでは3月、アサド前大統領が属するイスラム教少数派アラウィ派の中心地で、治安部隊や暫定政権支持派の戦闘員が虐殺を行い、シリア人権監視団によると、アラウィ派の民間人1700人以上が殺害された。
同監視団によると、今回の衝突には治安部隊、暫定政権支持派の戦闘員、さらに地元のドルーズ派勢力が関与していた。死者102人の内訳は、暫定政権支持派が30人、ドルーズ派勢力が21人、サフナヤの元市長を含む民間人が10人だという。
監視団はAFPに対し、戦闘員らは「内務省および国防省の関連部隊、およびそれに関連する武装勢力」によって殺害されたと述べた。
今回の衝突は、ドルーズ派の市民によるものとされる録音音声が流布し、その内容が冒涜的と見なされたことが原因で発生したとされるが、AFPは録音の真偽を確認できなかった。
ジャラマナでは4月29日、サフナヤでは30日に衝突は停止した。
暫定政権は治安確保のため、サフナヤに部隊を配備すると発表し、「無法者集団」が衝突を扇動したと非難した。しかし、ヒジリ師は「政府を装う存在など、もはや信頼しない」と非難した。
シリアの暫定政権は、国際テロ組織アルカイダのネットワークにルーツを持ちながら、多宗教・多民族国家であるシリアの包摂的な統治を誓ったが、同時にイスラム過激派からの圧力にも対処しなければならない。
ドルーズ派に対する支援を強化しているイスラエルのギデオン・サール外相は国際社会に対し、「シリアの少数派、とりわけドルーズ派を現体制およびそのテロ集団から守るべきだ」と訴えた。さらに「ドルーズ派に対する攻撃が再開され、シリア政府がそれを阻止しない場合、イスラエルは断固対応する」と述べた。
一方、アサード・シャイバニ外相は1日、国際的介入を要求する姿勢を改めて拒否。X(旧ツイッター)への投稿で「いかなる名目やスローガンであれ、外部の介入を求めれば、さらなる悪化と分裂を招くだけだ」と警告した。(c)AFP