【5月1日 AFP】ドーピング違反による3か月の資格停止処分を経て、次週開幕のイタリア国際で復帰する男子テニス世界ランキング1位のヤニック・シナー(イタリア)が、反ドーピング当局から優遇されたのではないかという指摘を否定した。

シナーは2024年3月、禁止物質のクロステボルに陽性反応を示したが、不正監視団体ITIAと世界反ドーピング機関(WADA)はともに、シナーが同物質から競技上の優位性を得ておらず、汚染は偶発的であり、過失はなかったと判断。シナーの処分は3か月間にとどまった。

当初は最大で2年間の資格停止処分を科される可能性もあった中、一部の選手からは特別扱いではないかと批判も上がった。

シナーは国営イタリア放送協会(RAI)に対し、「(陽性反応を示した他の選手と)異なる扱いを受けたという声もあるが、それは事実ではない」「多くの聴聞会に出席し、おそらく他の選手以上に検査も受けたと思う」と話した。

さらに「批判に反応したくない。人は自由に発言し、他人を判断するものだから。ただ、自分が何を経験してきたかは自分だけが知っている。とても困難な道のりだったし、無実の他の人が同じ経験をすることは望まない」と述べた。

シナーは一貫して、専属の理学療法士が切り傷の治療にクロステボル入りのスプレーを使用した後、自身のマッサージを行ったことで、同物質が体内に入ったと主張している。

処分の受け入れについても、「頭では何も悪いことをしていないと思っていたので、3か月の処分を受け入れるのは本当に苦しかった」と話し、「ロッカールームでは他の選手の視線を感じ、居心地の悪さを感じることもあった」と明かした。(c)AFP