車のナンバープレートに付着した虫の数減少 英研究チーム、昆虫数減少を懸念
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【5月1日 AFP】英研究チームは4月30日に発表した報告書「バグズマター2024年版」で、車のナンバープレートに付着した虫の数が英国全土で減少していることは、飛翔昆虫の数が「憂慮すべき」ほど減少していることを示していると述べた。
同報告書によると、車のナンバープレートに付着した飛翔昆虫の数は、2021年以降63%近く減少した。
飛翔昆虫は、鳥類などの野生生物の食料源として、また農作物の受粉媒介者として、そして害虫の抑制者として、健全な環境の維持に重要な役割を果たしている。
「ケント野生生物トラスト」と慈善団体「バグライフ」が主導するこの調査は、市民科学者の協力を得て実施されている。市民科学者は移動と、車のフロントナンバープレートに付着した虫の数を記録する。
2万5000件以上の移動を分析した結果、2021年から2024年にかけて英国全土でナンバープレートに付着した虫の数が急激に減少したことが明らかになった。
2022年から2023年にかけては44%減少したが、2023年から2024年にかけては減少率が8%に鈍化した。
ケント野生生物トラストの保全科学者、ローレンス・ボール氏は、「これほど短期間でナンバープレートに付着した虫の数がこれほど大幅に減少したのは、本当に憂慮すべきだ」と述べた。
ボール氏によると、この減少は、昆虫の個体数の長期的な減少に加え、「近年の英国における異常気象におそらく関連している」短期的な減少が重なった結果だという。
報告書によると、「世界中の多くの科学的研究でも、同様の昆虫の個体数の減少傾向が報告されている」。
科学者たちは、この減少は生息地の喪失、農薬の使用、土壌と水質の汚染、気候変動など、人間活動によって引き起こされていると指摘している。
バグライフのアンドルー・ホワイトハウス氏は、最新のデータは「地方部の飛翔昆虫の数が再び減少していることを示唆している」と指摘。
報告書では、都市部では地方部に比べてナンバープレートに付着した虫の数が平均60%少ないと指摘されており、「私たちが町や都市の自然に与えている影響を浮き彫りにしている」という。
「バグズマター」調査は、車のフロントガラスに付着した虫の数が以前に比べて減っているという逸話である「フロントガラス現象」に基づいている。
今年の調査は5月1日から9月30日まで実施され、初めてアイルランドにも拡大される。住民はアプリで移動を記録することで調査に参加できる。(c)AFP