【4月28日 東方新報】「二次元は今や文化現象であり、新たな消費トレンドとして定着しつつある」と、上海社会科学院の元副院長の張兆安(Zhang Zhaoan)氏は語る。二次元は突如登場したものではなく、時代の変化とともに誕生し、成長してきた存在だという。現在の消費は「話題性」や「価値観」などさまざまな面で変化しており、二次元消費はその象徴的な現れでもある。

 この日、上海市消費者保護委員会は『自分のためから社交へ:二次元消費の発展』という報告を発表した。それによれば、近年中国では「汎二次元」ユーザーが急増し、二次元文化はもはや一部の趣味ではなく、主流の消費領域となりつつある。「汎二次元」とは、アニメやゲームといった従来の二次元文化に加え、VTuber、コスプレ、ボカロ、AR/VRコンテンツ、eスポーツなども含めた広義のサブカルチャーを指す。

 二次元消費は、フィギュアやカード、ファッション、ゲーミンググッズといった実物商品に加え、デジタルコンテンツやSNS上の体験などにも広がっている。消費者はそこに感情的な共鳴や仲間とのつながりを求めている。

 また、今後は二次元文化と伝統文化の融合や、VR・AR技術による没入体験への期待も高まっており、それに伴う消費者保護の仕組み作りが課題となっている。

 この日、上海市では「二次元消費と消費者権益保護」をテーマにした講座が開かれ、企業や団体が今後の市場形成について意見を交わした。現場では、主要企業やプラットフォームが参加する「二次元消費と権益保護の協力メカニズム」が立ち上げられ、健全な発展への枠組みが動き出している。

 市場環境の変化とともに、実物とサービスの境界が曖昧になり、オンラインとオフラインが融合するなかで、二次元消費は強い推進力を得ている。主な支持層は1980年代生まれから2010年代生まれまでの4世代にわたり、単なるモノ消費ではなく、感情価値を重視した選択が増えている。

 技術の進化も拍車をかけており、AIやネット技術の発展はアニメ、ゲーム、eスポーツなどの二次元関連市場を一層活性化させている。新商品や新しい表現が次々に登場し、消費の選択肢は広がり続けている。

 インターネット企業の関係者によれば、ユーザーは推し活を通じて共感を求め、好きなコンテンツを中心にコミュニティを形成している。消費は単なる購入ではなく、共鳴や連帯感の手段になっており、こうした文化的消費は今後ますます拡大すると見られている。 若年層を中心とするこの市場は、依然として成長の余地が大きく、今後は品質や正規性への関心もさらに高まっていくとみられる。文化・技術・共感が結びついた「汎二次元」消費は、今後の中国における消費スタイルの一大潮流として定着していくだろう。(c)東方新報/AFPBB News